勢いを増す外資系製薬会社、日本市場で荒稼ぎ
ただ、日本では“売れすぎた”製品の薬価を調整する「市場拡大再算定」というルールもある。年間販売額が予想年間販売額の2倍以上かつ150億円を超えた医薬品を対象に、薬価を最大で25%引き下げる(原価計算方式で算出された新薬の場合)というものだ。
この仕組みにより、4月の薬価改定では、ファイザーのリリカ(末梢性神経障害性疼痛用薬)や中外製薬のアクテムラ(関節リウマチ治療薬)など、これまで売り上げの伸びが大きかった16成分48品目が薬価大幅引き下げの対象となった。その結果、新薬創出加算を多く取得した企業でも、薬価改定率が業界平均並みに落ち着くケースも見られる。この制度について、米国研究製薬工業協会は、「(市場拡大再算定は)革新的新薬の開発を阻害する」として「廃止・改善」を求めている。
一方、日本企業も米国での大型製品の特許切れが続いた「2010年問題」を機に、国内市場のテコ入れを進めている。武田は10年度に7新薬を投入。エーザイも認知症治療薬アリセプトの適応拡大や抗がん剤新薬発売を通じて日本市場の再強化を打ち出している。武田や第一三共、アステラス製薬はワクチンを新たな事業の柱に据えようとしている。
ただ、外資系は潤沢な資金に加え、事業の選択と集中を進めてきたこともあって、現在開発中の新薬品目数の多さで日本勢を圧倒する。ドラッグラグ解消策をテコに、外資系の躍進は続きそうだ。
(岡田広行 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2012年3月24日号)
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