勢いを増す外資系製薬会社、日本市場で荒稼ぎ
日本では臨床試験(治験)や新薬承認のための薬事当局の審査に時間がかかることなどを理由に、欧米で承認された治療薬を使えない「ドラッグラグ」が問題になってきた。だが、近年の審査期間短縮や世界同時開発を目的とした国際共同治験への取り組みにより、「当社ではドラッグラグはほぼ解消しつつある」とノバルティスファーマの三谷宏幸社長は話す。「これまで日本法人はグローバルで薬効が認められた製品を後追いで販売する態勢にとどまっていたが、世界同時承認および世界同時発売の展望が開けつつある」(三谷氏)。
ここで大きいのは、外資系がドラッグラグ解消努力と引き換えに、薬価改定時でも価格を維持できる「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」(新薬創出加算)を多くの品目で取得していること(表)だ。
圧倒的な新薬開発力 広がる日本企業との差
新薬創出加算は日本製薬工業協会や米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会などの要請を踏まえて10年4月に導入。後発医薬品が発売されていない新薬のうち、実勢価格の値下がり率が全品目の加重平均下落率よりも小さい医薬品に一定の金額を上乗せできるようにした。これは新薬を多く持ち、値引き販売をあまりしない外資に有利な制度といえる。
厚生労働省が発表した4月の薬価改定でも、医薬品全体の平均下げ幅は6・0%だったが、新薬創出加算対象の702品目では、8割近くが改定前の価格を維持。その品目の多くを外資系企業が握る。GSKでは4月の薬価改定時に新薬創出加算獲得数が51品目に達し、業界首位の座を占めた(同表)。