ロングテールは幻想!人気商品の独り勝ち

ニッチではなく、ブロックバスターがカギ

賢明な企業は、「ロングテール」による利益を重視するようになるのか?(写真 :TAKA / PIXTA)
サンリオ常務であり、「HBSの最も成功した卒業生31人」に選出された鳩山玲人氏はこう述べている。「ハーバード・ビジネススクール(HBS)在学中に出会った教授の中で、特に思い出深い教授が、アニータ・エルバースさん」。
エルバース教授はエンターテインメントを題材に扱う「Strategic Marketing in Creative Industries」(クリエーティブ産業における戦略的マーケティング)という異色の人気授業を担当する。その授業では映画、テレビ、音楽、出版、演劇、スポーツからナイトクラブまでのあらゆるエンターテインメントをビジネスロジックで解釈する。
これまで研究してきたエンターテインメントビジネス理論の集大成として作り上げたのが、書籍『ブロックバスター戦略』(鳩山玲人監訳・解説、庭田よう子訳)。鳩山玲人氏も「自分自身もブロックバスター理論の信者」と公言している。そのブロックバスター戦略を、事例とともに解説していただく。

 

ハーバード大学で異色の人気授業!  映画、テレビ、スポーツ、IT業界で「ひとり勝ち」するための戦略を解き明かす。『イノベーションのジレンマ』のクリステンセン教授も絶賛する、圧倒的勝者の戦略とは?

「20世紀のエンターテインメント産業がヒットで成り立っていたなら、21世紀にはニッチで成り立つようになるだろう」。

2006年、当時『ワイアード』誌の編集者だったクリス・アンダーソンの著書、『ロングテール』にある言葉だ。この言葉を聞けば、前回前々回まで、少数精鋭のブロックバスター(メガヒット)とスーパースターに勝負をかけるという著者のアドバイスは時代遅れで浅はかだ――と、思われるかもしれない。

ベストセラーになった彼の著書『ロングテール』によれば、自分の好みにぴったり合った商品を見つけて入手できるならば、消費者はヒット商品からそちらに乗り換える。よって、賢明な企業はブロックバスターに頼らずに、「ロングテール」による利益を重視するようになる。ロングテールとはつまり、実店舗のチャネルで提供すると採算が合わない、ニッチ向けにオンラインで提供する商品のことだ。

ロングテールの基本原則とは?

アンダーソンは、「ニッチに取り組む方法を見つけた企業が繁栄する」と明言する。この考えは多くの業界で受け入れられた。たとえば、当時グーグルのCEOだったエリック・シュミットは、アンダーソンの信念は「グーグルの戦略的思考の深い部分に大きな影響を与えた」と『ロングテール』の帯で述べている。

アナリストや業界観測筋に対して、ネットフリックスなど、いくつかの企業は自らをロングテール企業だと誇らしげに称した。
ロングテールの基本原則を復習しよう。ある分野(たとえばレコード、書籍、ビデオなど)で販売可能な全商品を販売数量順に示したグラフだ。

網かけ部分がロングテールを表す。これはつまり、オンラインで購入できるが、ごく少数しか売れないので、リアル店舗やその他アナログ・チャネルで販売しても採算が取れない商品のことを指す。

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