(第39回)製造業が米国や日本にもう戻らない理由

✎ 1〜 ✎ 104 ✎ 105 ✎ 106 ✎ 最新
拡大
縮小

エピソードの真偽や、就業体制の是非は別問題として、アメリカ国内はもとより、世界のどこでも絶対に得られない生産体制が中国に存在することは、事実である。状況に応じて柔軟に生産量を調整できる工場が存在すること、単純労働者だけでなく、ミドルレベルの技術者を多数獲得できることが重要な条件だと、アップルの担当者は述べている。

iPhoneの生産が中国で行われていることは広く知られているが、多くの人は、「安価で勤勉な労働力が得られるから中国生産が選択される」と考えている。そうした側面があることは事実だが、より広範な生産体制の存在が重要なのだ。

サプライチェーンでは距離が問題になる

アップルからの注文を受けたことで、コーニングのケンタッキー工場の生産は増加した。スマートフォンが成功し、他社もアップルと同様にガラスのタッチパネルを採用したので、アップル以外からも注文が来るようになった。しかし、コーニング社による生産の大部分は、ケンタッキー工場ではなく、日本や台湾にあるコーニングの工場で行われた。

その理由は、ケンタッキーでは、後工程を担当する中国工場との距離が遠すぎることだ。アメリカから出荷すると、船便では中国に着くまでに35日かかる。航空便ではコストが10倍もかかってしまう。つまり、太平洋の広さが問題になるのである。

日本は、中国という大組立工場の近くだから部品を供給できたことになる。この点は十分認識すべきだ。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
イオン、PB価格据え置きの「やせ我慢」に募る憂鬱
イオン、PB価格据え置きの「やせ我慢」に募る憂鬱
「イトーヨーカドー幕張店」激戦区の大改装に差した光明
「イトーヨーカドー幕張店」激戦区の大改装に差した光明
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT