しかし、現実には、「資金調達ができなくなったとき」、それが「実質財政破綻」の定義と言っていいだろう。20世紀であれば、国債発行残高の過半を日銀が保有している段階で、実質財政破綻とみなされただろうから、異次元緩和イコール財政破綻とみなされただろう。
ただ、21世紀、世界的に中央銀行に国債を保有させる行為が広がり、人々の感覚が麻痺してしまい、現在、そういう解釈は少数派だ。しかし、中央銀行が、直接引き受けをしたり、政府に直接融資をしたりすれば、21世紀においても、明らかな財政破綻とみなされるだろう。
超長期国債入札の「記録的不調」が意味するもの
結局、民間の主体、政府以外の経済主体が金(カネ)を貸してくれなくなったら財政破綻なのである。マネーを大量に発行してハイパーインフレになるのも、この財政破綻に当たると解釈できるから、この定義が実質財政破綻として妥当であろう。
となると、これは、始まっている。財政破綻は始まっているのである。
5月20日の20年物国債の入札は記録的な不調(値が大きいほど不調とされる指標「テール」(平均落札価格と最低落札価格の差)は、1987年以来の大きさだった)になり、日本経済新聞をはじめ、世界中のメディアが一斉に報じた。
これを受けて30年物、40年物は、ともに歴史上最安値を更新した。財務省が6月20日に債券市場参加者を集めたプライマリー・ディーラー会合を開くことになったと日本経済新聞は5月27日に報じた。
足元の債券市場で超長期国債の金利が上昇していることを議論し、需給の悪化を踏まえ、超長期債の発行計画を修正するという観測が広がっている。年度途中で発行計画についてヒアリングをするのは異例のことだ。
2025年度の発行計画においては、市場の意見も踏まえ、すでに30年や40年債の発行をそれぞれ1.2兆円減らし、5年債や短期国債を増やしていた。つまり、もはや日本政府は、超長期債では資金調達が困難になってきているのである。そして、それは今年度に入ってから急速に悪化しているのである。
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