また、日銀は、国債買い入れ額の減額を少しずつ進めているが、需給に配慮して、残存年限25年までの国債買い入れを減額している一方、25年超の年限では減額に着手していない。それにもかかわらず、超長期債は利回りの上昇が続いているのである。さらに、5月28日に実施した40年物国債入札では、最高落札利回りが2007年に入札を開始して以降で過去最高の3.135%となった。
「綱渡りを続けがんばっている」「世界最高の能力を持つ」と言われている財務省理財局の努力に水を差すようで申し訳ないが、限界に近づいている(普通の当局だったら、限界を超えている)のである。
そこへ持ってきて、外部環境も悪い。日銀は、国債買い入れ減額の2026年4月以降のペースの見直しを6月の政策決定会合で行うこととしている。これも市場の思惑を呼ぶ。
さらに、最大の問題は、アメリカのドナルド・トランプ大統領である。米国債が格下げとなり、それにもかかわらず、大減税法案を審議中である。根強いインフレが続き、中央銀行であるFEDの利下げも見込みにくく、そこで大減税実現となれば、国債は大幅下落となるだろう。
アメリカへの信認低下は世界的な金融暴落につながる
そして、私個人の最大の懸念は、トランプ大統領がすでに壊れてしまったのではないか、ということだ。EUへの追加関税50%を執行するといってみたり、即日にそれを撤回したり、駆け引きではなく、ただのご乱心、不安定である。
さらに、ハーバード大学への留学生受け入れ禁止は、ハーバードに恨み、攻撃をする、ということで、一応の動機はわかるが(本当はわからないが)、アメリカの大学留学を希望する学生への「ビザ発給面接の新規受付一時停止」は、まったく意味不明であり、いかなる動機でも説明できない。
やはりトランプ大統領は壊れたのだ。
トランプ政権の信任はアメリカへの信任、それはアメリカ国債にもっとも如実に現れる。株式や為替市場は、トレーダーたちの欲望とセンチメントが前面に出てくるが、国債市場は、理屈の市場、合理的な論理が価格に反映される。だから、アメリカへの信任低下は、米国債暴落となり、アメリカ信任低下なら、ドル安、そのほかの通貨は?ということを超えて、世界的に金融市場トリプル安、リスク資産はすべて暴落となるだろう。
そのときには、いちばん弱いところから攻撃を受けるから、日本なら、それは為替を絡めて、国債を攻撃されるだろう。
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