「思ってた内容と違う…!」「グロいのに号泣した」賛否が噴出している“異色のハリウッド映画”『サブスタンス』の何が凄いのか

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スーはエリザベスの出ていた番組の後任オーディションを受けると合格、レギュラーが決まった。若くて美しいスーはたちまち人気を博し、仕事も遊興も思いのまま。ついつい遊びに耽ってエリザベスとの交代の期間を無視してしまう。するとエリザベスの体に異変が……。

あな、恐ろしや。ボディホラーのはじまりである。

情報を得ないまま映画を見ると、前半はルッキズムやエイジズムの社会派テーマを内包した、華やかなハリウッドのバックステージもの+近未来美容医療エンターテインメントかと思う。

サブスタンス
エリザベスの肉体から生まれたスーは、たちまち人気者となっていく(写真:©2024 UNIVERSAL STUDIOS)

主人公と同世代の女性が「最も共感したポイント」

老いが気になるエリザベスが昔の知り合いと再会し、その人とデートの約束をするエピソードは共感ポイントである。

おしゃれをして外出しようとした直前、自分の容姿が気になり引き返す。何度も何度もメイクをし直し、なかなか出かけることができず、刻一刻と約束の時間が近づいてくる。『サブスタンス』の紹介の記事や感想ではここを挙げているものが多い。

女性を年齢や外見で見ている金儲け主義のプロデューサーの食事の仕方がこれでもかというほど醜悪で、世の中の権力をもったおじさん(あえておじさんと書く)への痛烈な批判と感じ、痛快だ。

だが、『サブスタンス』を、たとえば、美を追求しすぎた結果、堕落していくヒロインを描いた、岡崎京子原作で、蜷川実花が監督、沢尻エリカが主演した映画『ヘルタースケルター』(2012年)のような作品かと油断してもいけない。最低限、『サブスタンス』はホラー、それもボディホラー(身体の変容を題材にしたもの)であることを知っていたほうがいい。

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