大阪・関西万博で注目のイタリア館、120の卓越したブランドが集うアルタガンマ財団が示す「より良く競争するために協力する」国家戦略
「イタリア人も協力は苦手と言われています。それでも手を合わせることで素晴らしい成果が生まれるという理解を広めるのが重要だと思います。私自身、メイド・イン・イタリーのブランド2社が組むと魔法のようなエネルギーが生まれるのを何度も目にしてきました」とルネッリ氏。異業種連携に大きな可能性を感じているようだ。
日本には本物の高品質が、まだまだたくさん隠れている
ルネッリ氏は、最後に国家的ブランド戦略における観光の重要性についても語ってくれた。
「イタリアに来てライフスタイルや文化を知ることで製品理解が深まり、帰国後の購買につながることが多いです。観光は戦略的に重要で官民一体で取り組むべきです」
特に、オーバーツーリズムにならないように観光客の「量より質」に注目したハイエンドツーリズムの推進をアルタガンマは重視しているという。これもまた、局地的なオーバーツーリズムが問題化しつつある日本にとって、大いに参考になる視点だ。
日本政府観光局(JNTO)は旅行での消費額が100万円以上の人を「富裕旅行者」と定義しているが、日本はそうした層にも人気で、コロナ禍以降、京都東山には1泊10万円以上の高級ホテルが続々と開業している。日本の産品は、その奥深さや品質の高さで評価され、本物志向の富裕層に支持されている。 日本の産品は、しばしば伝統文化の歴史を含めた奥深さや、製品の品質の高さで評価を受けており、それを喜ぶ目の肥えた本物志向の富裕層顧客も少なくない。日本人が気がついていないだけで、日本には世界の人々を惹きつける本物の高品質が、まだまだたくさん隠れている。
それなのに、それをうまく世界に売るブランド戦略だけが欠如している──ルネッリ氏の話を聞いて、そんな気がした。
日本の豊かな文化、卓越した職人技、現代的感性をどう戦略的に世界へ伝え、継続させるか。アルタガンマの30年強の歩みはヒントに満ちている。
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