大阪・関西万博で注目のイタリア館、120の卓越したブランドが集うアルタガンマ財団が示す「より良く競争するために協力する」国家戦略

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そこでアルタガンマは教育プロジェクトに注力。「Adotta una Scuola(学校支援プロジェクト)」では、ブランド企業が専門学校と提携し、実践的カリキュラム開発や職人による直接指導、インターンシップ機会を提供。約50校が参加中だ。「I Talenti del Fare(ものづくりの才能)」というプログラムでは製造業の重要性を啓発する。

アルタガンマが推進するAdotta una Scuola(学校支援)のプロジェクトには、プラダやヴァレンティノなど日本でもお馴染みの多くのファッションブランドが参画。イタリア文化を支える伝統産業の次世代育成に向け協力している(プラダ社の発表ヴァレンティノの発表)。

今日の高級ブランドにとって無視できない「サステイナビリティ」に対しての考えも面白い。「真のサステイナビリティは、環境のことだけを考えるのではなく、企業が地域社会の発展に貢献することも重要です」と述べる。地域社会を大事にすることが、回り回って「環境の改善にも」つながるという考えで「アルタガンマ企業は地域と積極的な関係を持つ」と言う。実際、ルネッリ氏が経営するワインのフェッラーリ社もつねに「フェッラーリ・トレント」と地域名を冠している。

日本では、創業地との結びつきをブランド戦略に生かす企業は少ない。訪日客が日本人でも知らない地方を訪れ始めている今、日本の企業ももっと地域性を大事にしていいのかもしれない。

日本が価値観の近いイタリアから学ぶべきこと

親日家のルネッリ氏は日本とイタリアの相性の良さを熱く語る。「日本の品質、創造性、デザインは世界で高評価です。(中略)多くのイタリア人も日本文化を深く愛しています」と両国の交流に期待する。

両国は小規模独立系ブランドが多い点でも類似すると指摘。「フランスは巨大コングロマリットがほとんどを占めるが、イタリアは独立系が多い。だからアルタガンマや150万社もの中小・零細企業を束ねるコンファルティジャナート(イタリア手工業者及び小規模企業独立組織)のような組織が重要です」。これは中小規模の個性的なブランドが多い日本にも示唆に富む。

そもそも両国は職人技への敬意や美食へのこだわり、南北に長い国だからこそ生まれる地域ごとの特色の違いなど共通点が多く、それだけに学ぶことも多そうだが、日本の企業はどこか協業が苦手な印象がある。

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