大阪・関西万博で注目のイタリア館、120の卓越したブランドが集うアルタガンマ財団が示す「より良く競争するために協力する」国家戦略
「例えば、ファルネーゼのアトラス像(古代ローマの彫刻)を見れば、人々はイタリアの石を素晴らしい芸術作品に変える職人技を感じてもらえるはずです。ヴェネツィアの布地やそれで作られた衣服を見れば、何世紀も前にヴェネツィアで素晴らしい織物や衣服が作られていたことがわかるでしょう。レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿は芸術と科学を融合させるイタリアの能力を象徴しています。また、カラヴァッジョの作品の美しさを見れば、それはイタリア人が何世紀にもわたって培ってきた美意識を感じるでしょう。
我々はこうした美に囲まれて暮らしているという点で明らかに幸運だと言えます。そしてそれが、我々のすべての才能や創造性を手助けしているのです。こうしたことこそが、おそらくイタリアの卓越性の真の起源であり、そうしたイタリアの創造性は今日のアルタガンマの企業がつくる最も洗練された製品にも通底していると、私は思っています。イタリア館全体がそのことを表現しているのです」


「卓越性」を追求し継承する
では、そんなアルタガンマ、発想の大元にもなっているフランスのコルベール委員会とはどんな違いがあるのか。ルネッリ氏は「我々は自らを表現するにあたり、(フランスがよく用いる)『ラグジュアリー』ではなく、『ハイエンド』や『卓越性(excellence)』という言葉を好んで使います。アルタガンマ自体、ハイグレードの意味です。アルタガンマが生み出すものには、その核心に本物のクオリティがなければなりません。その価値は、卓越した才能、磨き上げられた職人技、長きにわたり受け継がれる伝統と歴史、作り手たちの絶え間ない情熱、そして製品が生まれた土地そのものが持つ豊かな文化によって育まれるのです」と語る。
「真の『卓越した製品』は長持ちし、世代を超えて受け継がれます。ファストファッションとは対極です」。この考えは、修理しつつ家に住み、着物を継承する日本の伝統文化と通じる。しかし、高品質を支える「職人技」の継承はイタリアでも喫緊の課題だ。「将来、仕立て屋や木工職人、ブドウ園の働き手がいなくなるかもしれません」と危機感をあらわにする。
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