大阪・関西万博で注目のイタリア館、120の卓越したブランドが集うアルタガンマ財団が示す「より良く競争するために協力する」国家戦略

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日本でもこれまでに何度も同様の組織を設立する試みはあったが、まだ成功に至ってはいない。

そんな中、万博会場でイタリア版コルベール委員会「アルタガンマ」のマッテオ・ルネッリ会長に話を聞く機会を得た。20回以上来日し、金沢に馴染みの料亭を持つ親日家で、イタリアと日本の発展を願う人物だ。万博イタリア館は、古代ローマ彫刻からダ・ヴィンチ手稿、カラヴァッジョ等の「本物」の展示で話題騒然だが、その背景には国の産業戦略があるとルネッリ氏は語る。フランスのLVMHやケリングのような巨大コングロマリットが少なく、小規模ブランドが多い日本は、コルベール委員会よりアルタガンマから学ぶ点が多いのではないか。ルネッリ氏の言葉を交え、日本のラグジュアリー戦略を考えたい。

より良く競争するために協力する

マッテオ・ルネッリ氏
マッテオ・ルネッリ会長はイタリアのトレント県にあるスプマンテ(スパークリングワイン)で有名なワインメーカー、フェッラーリ・トレントの社長兼CEOや、同社の親会社である飲料メーカー、ルネッリ・グループのCEOも務めている(写真:アルタガンマ財団)

アルタガンマとは何か。ルネッリ氏は「イタリア版のコルベール委員会と考えてもらっていいです」と即答した。1992年にサント・ヴェルサーチ氏が9ブランドで創設したが、現在は「ファッション、デザイン、宝飾、ホスピタリティ、自動車、食品、ワインなど120の卓越したブランドが集う財団で、すべての企業が、伝統、職人技、地域性、創造性、革新性といった共通の価値観を重視しています」と言う。

会員リストには、ファッションではボッテガ・ヴェネタ、フェンディ、フェラガモ、グッチ、プラダなど、宝飾ではブルガリ、自動車ではアルファロメオ、フェラーリ、ランボルギーニなど誰もが知る有名ブランドが名を連ねる。

使命は「メイド・イン・イタリーの卓越性を世界に広め、産業競争力を高め、イタリアの成長に貢献すること」だ。これは大言壮語ではない。加盟120社は「イタリア産業の頂点を作っています」とルネッリ氏は胸を張る。加盟企業の「産業規模は1260億ユーロ。GDPの7.4%で、200万人の雇用を生み出し、収益の53%を輸出から得ており、国の成長に70%以上貢献しています」と言う。

アルタガンマは「同じ価値観、時に同じ顧客を持つ企業が共同で創造する場で『より良く競争するために協力する』がモットーです」とルネッリ氏。

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