大阪・関西万博で注目のイタリア館、120の卓越したブランドが集うアルタガンマ財団が示す「より良く競争するために協力する」国家戦略
「異業種間ではデザインウィークで加盟企業のワインを提供するなど日常的に連携を行っています。ファッションと自動車の協業もよくあります」と言う。同セクターの競合同士での連携には難しさがあるが、それでも共に行えることはあるという。
「(大阪・関西万博の)イタリア館にあるインスタレーションが一例でしょう。我々はイタリア館の中でイタリアの創造力を示しライフスタイルを推進したいと思っています。これは全加盟企業で協力できることです。なぜなら、協力して素晴らしい展示をすることで、最終的には日本そして世界中の消費者にメイド・イン・イタリーの卓越した創造物を紹介し、それを通してイタリアのライフスタイルを想起させることができるからです」と語る。つまり、各ブランドがイタリア文化と強く結びつくため、競合同士でも「イタリアンライフスタイル」をプロモートする部分では協力できるというわけだ。
日本ではイベントスポンサー探しで、1社入れると競合に声をかけにくい状況はないだろうか。そんな時、このような束ねる組織があれば、より大きな協力を得やすいのかもしれない。確かに日本にも経済同友会などの組織はあるが、どうも文化的発信や共同でのブランド戦略をしている印象は薄い。
アルタガンマの戦略が花開く、万博イタリア館
それではアルタガンマの企業は、万博で話題のイタリア館にどのように協力しているのかを詳しく聞いた。
「イタリア館ではイタリアの創造性の起源であり、イタリアの美の起源であり、イタリアの職人技の起源であるものを展示の中心に据えました」とルネッリ氏。その象徴がアルタガンマ・アイカサヒドゥラン(L’Icosaedro Altagamma、アルタガンマの正二十面体)という展示だ。レオナルド・ダ・ヴィンチがデザインし、数学者ルカ・パチョーリが描いた有名な幾何学構造物をクルミ材で作ったもので20面中6面がスクリーンとなり、会員120ブランドの「サヴォアフェール(匠の技)」を映像で紹介している。

「神聖比例(黄金比)」の調和原理やミケランジェロの「知に従う手」、レオナルドの「経験なくして知識なし」といったイタリア創造性の根幹思想が込められ、文化・歴史・哲学まで伝えようとした展示だという。
これだけではない。ソーシャルメディアで話題の同館で行われている「本物のアート作品の展示」も、アルタガンマのブランディングを後押ししている。
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