朝ドラ「あんぱん」の演技が話題、河合優実は山口百恵の“再来”なのか? 共通する「暗さ」の魅力、異なる時代背景

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河合優美
3月、アジア・フィルム・アワードでの河合優実(写真:ロイター/アフロ)

河合優実の勢いがとまらない。

ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBSテレビ系)の不良娘役も記憶に新しいが、今年3月には日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。現在放送中の朝ドラ『あんぱん』での演技も絶賛されている。そんな河合について、SNSなどでは「山口百恵に似ている」と言う人も少なくない。

その理由について考えてみたい。

「そこにいま本当にいる」と思わせる河合優実

『あんぱん』で河合優実が絶賛されたのはこんなシーンだった。

河合が演じる朝田蘭子の実家は石材店。そこで住み込みで働く原豪にひそかに思いを寄せている。そしてある日、豪に召集令状が届く。最初は何も言わずそのまま見送ろうとしていた蘭子だったが、出征するぎりぎりのところで告白し、2人は思いを確かめ合う。

豪役の細田佳央太の好演もあってのことだが、確かにこの場面の河合優実の演技にはぐっと惹きつけられるものがあった。

長年ずっと胸に秘めてきた思いを告白する緊張、だがその思いを相手が出征するいま言わずにはおれない気持ち、そして豪の無事の帰還を願う切実な気持ちなど内心に渦巻く感情が、セリフの言い回し、目線の揺れ、細かな表情の動き、ちょっとした仕草などを通じて完璧に表現されていた。

しかし何よりも河合優実のすごさを感じさせたのは、朝田蘭子という人物の演技を超えた実在感である。そこには、蘭子という人間が「そこにいま本当にいる」と確信させてくれるような、有無を言わせぬ説得力があった。

もちろんフィクションなのだが、かつて戦時中、至るところに蘭子と同じ境遇の人たちが確かにいたに違いないと思わされた。

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太田 省一 社会学者、文筆家

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おおた しょういち / Shoichi Ota

東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本社会の関係が研究および著述のメインテーマ。現在は社会学およびメディア論の視点からテレビ番組の歴史、お笑い、アイドル、音楽番組、ドラマなどについて執筆活動を続ける。

著書に『刑事ドラマ名作講義』(星海社新書)、『「笑っていいとも!」とその時代』(集英社新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)、『水谷豊論』『平成テレビジョン・スタディーズ』(いずれも青土社)、『テレビ社会ニッポン』(せりか書房)、『中居正広という生き方』『木村拓哉という生き方』(いずれも青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩書房)など。

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