バイデン米前大統領(82)が公表「前立腺がんの骨転移」早期発見や検査、主な症状、転移後の治療や予後などについて医師が解説

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●バイデン氏と「がん対策」

2016年、バイデン氏はオバマ政権下で「がんムーンショット計画」を主導し、がん研究の加速と死亡率の半減を目指しました。2022年には、自ら大統領としてこの計画を再始動させ、25年間でがん死亡率を50%減少させる目標を掲げました。

今回の診断に対して、トランプ大統領やオバマ元大統領を含む多くの政治家が党派を超えて支援を表明しました。「医療を要するときに政治の壁はない」というヒラリー・クリントン氏の言葉どおり、多くの人が連帯の意を示しています。

一方で、本件は世界中の高齢政治家における老いと健康リスクの問題を象徴する出来事だと筆者は考えています。

一般企業などでも同じですが、高齢者層の予期せぬ病気がリーダーシップに及ぼす影響、そして後継体制の備えについて、改めて問い直すきっかけにもなったのではないでしょうか。

高齢社会における前立腺がんの課題

日本は世界で最も高齢化が進んだ国です。65歳以上の人口は総人口の約3割を占め、今後も増加が見込まれています。

前立腺がんは加齢とともにリスクが高まるがんで、平均発症年齢は70歳以上です。したがって、前立腺がんはこれからの日本社会における重要な健康課題の1つといえるでしょう。

前述したように、前立腺がんの多くは早期に発見すれば十分に治療可能で、生活の質を保ったまま長生きすることができます。日本でも作家の佐藤優さんや脚本家の三谷幸喜さんが前立腺がんで手術されたことを公表されており、決して珍しい病気ではありません。

また、前立腺がんの診断後に長期にわたって治療を続ける患者さんが増えるなか、今後は緩和ケアや在宅医療、精神的サポートといった、がんとの共生を支える体制の整備や社会の理解もますます重要になってくると思います。

いずれにせよ、男性が「排尿トラブル」や「性機能の低下」といった症状を恥ずかしがらずに医師へ相談できるよう、正しい知識の普及と意識の変化が求められます。

尿が出にくい、夜間の排尿が増える、排尿の勢いが弱いなどの症状を”年齢のせい”と放置せず、早めに医師に相談し検査を受けることが大切です。

谷本 哲也 内科医

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たにもと てつや / Tetsuya Tanimoto

1972年、石川県生まれ。鳥取県育ち。1997年、九州大学医学部卒業。医療法人社団鉄医会ナビタスクリニック理事長・社会福祉法人尚徳福祉会理事・NPO法人医療ガバナンス研究所研究員。診療業務のほか、『ニューイングランド・ジャーナル(NEJM)』や『ランセット』、『アメリカ医師会雑誌(JAMA)』などでの発表にも取り組む。

 

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