
中国政府は国家安全保障および国益保護の必要から、自国産の希少金属の輸出規制を強化している。ところが、その影響で一部の希少金属の取引価格が海外市場で跳ね上がり、密輸出の増加という弊害を招いている。
軍事転用可能なデュアルユース(軍民両用)物資の輸出管理をとりまとめる国家出口輸出管制工作協調機制弁公室は5月9日、商務省、公安省、国家安全省、海関総署(税関)などの関係省庁と合同で希少金属の違法な国外流出を防止するため専門会議を開催し、具体策を協議した。
関係省庁が合同で対策会議
希少金属の密輸出の増加は、中国政府が2025年2月にタングステン、テルル、ビスマス、モリブデン、インジウムの5元素を輸出規制の対象に加え、続く3月にレアアースのうち中・重希土類に分類される7元素を追加したことがきっかけになった。
「一部の外国組織と国内の不法勢力が結託し、密輸出の新たな手口を絶え間なく作り出して、(当局の)取り締まりをすり抜けようとしている」。上述の会議では、そんな実態に対する危機感が共有された。
関係省庁は今後、虚偽の輸出申告や第三国を経由した迂回輸出など規制逃れの典型的な手口を一致協力して取り締まり、国家安全保障と国益保護の維持を徹底するとしている。
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