中国産「希少金属」、輸出規制強化で密輸出が増加 海外市場での価格急騰が背景、当局が取締強化

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中国政府が希少金属の輸出規制を強化した後、海外市場では一部の金属の供給が極端に不足し、取引価格が急騰した。そのため、同一金属の中国国内の市場価格と大きな落差が生じ、(一攫千金を狙う)密輸グループの横行を招いた。

中国政府はレアアースの輸出規制を外交上の武器として使ってきた。写真は「中東に石油あり、中国にレアアースあり」の標語を掲げる国有レアアース大手のウェブサイト

なかでも内外価格差が大きいのがレアアースだ。一例を挙げると、市場調査会社のアーガス・メディアによれば、酸化テルビウムのヨーロッパ市場での取引価格は5月初め時点で1トン当たり約3000ドル(約43万円)に達し、その前の1カ月間で3倍以上に急騰した。

一方、同じ時点の中国国内の市場価格は1トン当たり約1000ドル(約14万円)であり、約2000ドル(約29万円)もの内外価格差が生じている。

輸出許可の取得にハードル

そもそも、希少金属の輸出規制は輸出禁止ではない。合法的な取引は当局に申請して輸出許可を取得できるはずだ。しかし事情に詳しい関係者によれば、実際には審査の要件をクリアするのは困難だという。

中国の輸出管理法はデュアルユース物資に関して、輸出業者が(その物資の)エンドユーザーや最終用途を証明する情報を商務省に提出するよう義務づけている。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

だが、金属素材は最終製品になるまでに何段階もの加工や転売が繰り返されるのが一般的だ。

「中国から輸出する時点で、貿易会社がエンドユーザーや最終用途を把握するのは難しい。輸出先の海外企業に問い合わせても、守秘義務の壁があり情報開示に消極的だ」と、前出の関係者は打ち明ける。

(訳注:記事原文が配信された後の5月中旬以降、少数の中国企業がレアアースの輸出許可を当局から取得したとの報道もある)

(財新記者:盧羽桐)
※原文の配信は5月9日

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