「家事ができないよう少女の指を…」泥沼化するアフリカ・スーダン内戦で見た”理不尽な暴力”と”飢餓”のリアル

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昨年12月から、国境なき医師団は南ダルフール州で栄養失調治療の対象となっている子どもや、妊娠中・授乳中の女性、そしてその家族に対し、食料の配布を開始した。1家族あたり平均5人に、1人あたり1日2000キロカロリーの食料を2カ月間提供するというものだ。

経済状況が悪化の一途をたどる中、食料不足の影響を大きく受けている人たちに短期的ではあれ支援を提供することが目的だ。

しかし、いざ配給が始まると、5人家族だったはずの家に親戚が集まり、10人を超えることもあった。親戚の誰かが食料援助を受けたと聞けば、何とか食料を分けてもらえないかと、人たちが集まるのだ。

医療施設の7割以上に被害

攻撃は医療施設にも及ぶ。世界保健機関(WHO)によると、スーダンで内戦の影響を受けた地域の医療施設の7割以上が、部分的にしか稼働できなくなるか、完全閉鎖に追い込まれた。

国境なき医師団が受けた暴力行為は80件を上回り、スタッフや施設、車両、物資が標的となっている。診療所は略奪、破壊され、医療従事者は暴行や脅迫を受け、殺害された者もいる。

北ダルフール州で50万人近い避難民を受け入れているザムザム・キャンプ内外では、医療援助の継続が不可能なレベルまで攻撃や戦闘が激化し、国境なき医師団は今年2月に仮設病院を含めたキャンプ内の全活動の停止を余儀なくされた。

病院の物品の略奪も後を絶たない。

国境なき医師団のスタッフは、2023年6月に攻撃を受けた北ダルフール州の病院についてこう語った。「病院の建物は破壊され、ベッドまで略奪され、医薬品は焼け尽くされていました。遠くから見ると病院のように見えますが、中に入ると草が生え、蛇がうごめいていたのです」。

紛争において医療機関を攻撃してはならないことは、国際人道法で明確に定められている。国境なき医師団はすべての紛争当事者に国際人道法を遵守し、人道援助を尊重するよう求めている。

攻撃を受けたスーダン・北ダルフール州の病院=2024年12月(Ⓒ MSF)
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