東京メトロ南北線、首都圏「ワンマン運転」の未来 先進技術を駆使して導入、運転士の苦労は?
乗務員が、ワンマン運転の際に気をつけていることについても聞いてみた。
「運転士業務のほか、車掌業務も担うため、駅でのドア開閉操作には、特に気をつけている」
運転士は運転業務のほか、駅でのドア操作も扱う。確実に安全に扱わなくてはならない。乗客の駆け込み乗車などは、特に注意しなければならないだろう。駆け込んできた人がケガをしてしまった場合は、ドア扱いを行った乗務員にも責任を問われる可能性もあるだろうし、運行を遅延させてしまう原因にもなってしまうだろう。一人二役、プロとはいえ責任は重い。
千代田線もワンマン運転?
南北線の後に開業した副都心線や、既存の丸ノ内線や有楽町線でもワンマン運転への切り替えや、ホームドアの取り扱いが行われており、千代田線の一部区間でも実施している。今後の他路線に関して、ワンマン運転の拡大は今のところ発表されていないが、すでにJR常磐線・各駅停車がワンマン運行を開始しているので、直通している東京メトロ・千代田線(綾瀬―代々木上原間)でも、将来的に行われるのではないかと筆者は考えている。
他の路線でも他社線と相互直通運転を行っている東京メトロでは、直通相手のワンマン化改造の費用をどのように負担しているのかについて尋ねてみたところ、「契約の詳細に関わるため、回答は控えさせていただきます」とのことだった。
人口の多い都心部でのワンマン運転は、従来以上に安全の確保が必要になり、単に運転方式の変更ではなく、システム全体としてのグレードアップが不可欠であり、相当な労力が必要なのである。少子高齢化による働き手の減少は、鉄道事業者の大小にかかわらず、いっそう深刻な問題になっているのは、間違いないだろう。

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