台湾に来た中国人配偶者「陸配」がなぜ台湾の政治的問題として浮上したのか、その歴史と現政権の思惑、そして移民・人権問題(前)
彼女は、自身が陸配であるだけでなく、台湾の多くの陸配にインタビューしている。外国人や台湾人がインタビューするのとは違って、同じ陸配の彼女には、陸配たちの多くの本音が語られているはずだ。
上官乱さんは、台湾に来て4年。比較的、新しい台湾への移民だ。中国・四川省成都市に生まれ、中国の大学でメディア学を学んで卒業後はメディアで仕事をし、後にフリーランスに転じる。人権に強い関心を持つ作家として社会運動を多く取材し、当局から呼び出されたこともある。
上官乱さんは中国にいたとき、社会的マイノリティーに対する関心を持っていた。そのため、同性婚を法制化した台湾に関心を持った。台湾人と同様、「台湾は自由と民主のある社会だ」と感じていた1人だった。
「台湾は中国人にとって民主主義のモデル」
上官乱さんは2015年に初めて台湾を訪れ、台湾の歴史や文化に関する見聞を中国で紹介し、2017年にそれをまとめた本を中国で出版した。そのことで、中国にいるたくさんの台湾人と知り合った。
そのときに知り合った1人が、上海市で働いていた今の夫だった。夫はもともと中国で旅行業に就いていたがコロナ禍で仕事ができなくなり、台湾に帰った。そのため、彼女も台湾にやって来た。
ところが、ある発言で状況が一変する。
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