台湾に来た中国人配偶者「陸配」がなぜ台湾の政治的問題として浮上したのか、その歴史と現政権の思惑、そして移民・人権問題(前)
変容した差別意識と偏見
こう語るのは、台湾男性と結婚して台湾にやってきた中国出身の作家、上官乱さんだ。台湾人と結婚した中国出身の配偶者は、「陸配」(大陸配偶)と呼ばれている。
男女に限らないが、女性が男性の約10倍と圧倒的に多い。この陸配が台湾でクローズアップされている。陸配を理解することは、対立を深める台湾と中国との関係を理解するうえで必要になってきている。
きっかけは冒頭で紹介した陸配の女性で、台湾では「亜亜」事件と呼ばれている。この事件は、亜亜さんという台湾に在住する「陸配」のインフルエンサーのネット上での発言が、中国による「武統」(武力統一)を鼓吹したと認定されたことを理由に、台湾での在留資格を取り消されたというものだ。
台湾で陸配に対する締め付けが厳しくなっていることが浮き彫りになった事件だ。
「陸配」とはどんな人たちなのか――。そこで知人や関係者などから紹介されたのが上官乱さんだった。「上官乱」は作家、ジャーナリスト、インフルエンサーとして活動する彼女のペンネームでありハンドルネームだ。


















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