「消費税で家計が疲弊し、企業は利益を貯め込む」知日派ジャーナリストが嘆く日本の残念な状況
そのかなりの部分は、余剰利益を積み上げている企業に流れている。「日本は復活した」と主張する人々は、しばしば企業の利益増加を指摘する。しかし、その利益の大部分は賃金上昇の抑制によってもたらされたものだ。
現在の従業員1人当たりの企業収益は、30年前の1996年と比較して2倍になっている。しかし、生産性の指標である従業員1人当たりの売上高はわずか20%の増加に過ぎない。そして、従業員1人当たりの賃金は、実質的にはまったく上昇していない。賃金の抑制は、国民から企業へと所得を移転させているのだ。
ゼロ金利政策の影響で、年間の利子収入は1990年から85%も激減しており、その収入に日々の生活を頼っている高齢者にとっては大きな打撃となっている。
家計から大企業へ所得が移る
さらに、社会保障給付費は高齢者1人当たり290万円から210万円に減少し、物価変動を考慮すると30%もの大幅な減少となっている。さらに悪いことに、家計にかかる税負担(消費税、所得税、社会保険料)は、税引き前所得の16%から23%へと増加している。自民党は、国民への増税と企業への減税を同時に進めることで、事実上、家計から企業、特に大企業へと所得を移転させているのだ。
消費税は過去35年間で着実に上昇し、現在では消費者の可処分所得の9%を奪っている。対照的に、1990年代初頭には、企業は利益の45~50%を税金として政府に納めていた。それが今ではわずか15~18%にまで低下している。
自民党は、こうした度重なる法人税減税を正当化するために、次のような誤った主張を繰り返す。「減税すれば、企業は余った利益で投資を増やすだろう。そうすればGDPが増加し、税収が増えるだけでなく、労働者の需要が高まり、賃金上昇につながる」と。
経済産業省の中堅官僚の中には、上司が認めないとしても、内心ではこの主張の誤りを認めている者もいる。岸田文雄前首相が防衛費倍増のために法人税減税の一部撤回を示唆した際、経済産業省のある幹部は私に、経済産業省の最優先事項は岸田氏の計画を阻止することだと明言した。
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