バフェット氏は「会社四季報」を読み込んでいた、仕事机の上には英語版の会社四季報「ジャパン・カンパニー・ハンドブック」が

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(写真:ブルームバーグ)

米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が2020年に始めた日本の大手商社5社への投資は、今や約3兆7100億円の価値となっている。そのきっかけは実にシンプルなものだった。

バフェット氏は「2000-3000社ほどの日本企業が載っている小さなハンドブックを読んでいたが、その中に、ばかげたほど安値で売られている商社5社があった。それで約1年かけてそれらを買い集めた」と、ネブラスカ州オマハで開かれた株主総会で語った。バークシャー・ハサウェイの最高経営責任者(CEO)を年末に退任すると発表する直前のことだ。

つまり、日本の個人投資家と同じ方法で銘柄選別をしたわけだ。小さなハンドブックとは「会社四季報」で、年4回発行される2800円の分厚い冊子には約4000社近い日本の上場企業の情報が掲載されている。

バフェット氏が評価したことで、同氏の信奉者たちが英語版の会社四季報「ジャパン・カンパニー・ハンドブック」に殺到してもおかしくなかった。実際、同氏の机の上には12年前から英文四季報が置かれていたことも確認されている。

ところが東洋経済新報社は昨年、この英語版を休刊にしてしまった。世界で最も有名な投資家が価値を認めた数カ月前のことだった。

これで投資の「原石」を見つけるのは難しくなったかもしれないが、バフェット氏が長年支持してきた「忍耐強い投資家」にはむしろ、有利に働く。幸い、同氏が日本投資に関して示した教訓はこれだけではない。

これまでバフェット氏は主に、投資そのもので語ってきたが、最近の発言からは日本投資について幅広く知られるべき幾つかの教訓がうかがえる。

機会の認識

バフェット氏はこう話している。アップルのティム・クックCEOなら日本での「iPhoneの売り上げは米国以外のどの国にも劣らないほど好調だと言うだろう。アメリカン・エキスプレスなら、日本で非常にうまくいっていると伝えるだろう。コカ・コーラもわれわれが投資している1社だが、日本で極めて良好な業績を上げている」

このところ、ソフトパワーやインバウンド観光で日本に注目が集まっているとはいえ、人口動態や医療制度への取り組み、豊富な投資機会など、まだまだ日本には十分認識されていない部分がある。

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