最低賃金は2200円超え!ただし「高額報酬」目当てだと”痛い目を見る”ことも? オーストラリア「ワーキングホリデー」の実態

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今回の海外就労のスタイルは次の3つに分類されると思います。

1. ネットワーク型
2. 現地制度活用型
3. キャリアアップ型

1のネットワーク型は、レファレンス採用が重視される海外ならではの方法と言えます。信頼できる人からの紹介は一考に値するとみられますので、人のご縁を活用するのは理にかなった方法と言えます。空き時間に好きなサッカーで地域の子どもたちと交流するという早川さんの行動は、偶然の出来事を積極的に活用してチャンスに変えていく「計画的偶発性理論」と言えるかもしれません。

次に2の現地制度活用型は、その国ならではの就労システムを活用するというもの。特に海外でより長く生活したいという場合は、国ごとの制度を把握したうえで計画的に行動するとより効果があります。

オーストラリアの場合は、セカンドワーキングホリデーという制度があります。もう1年滞在を延長できる制度ですが、政府指定地域にて最低3カ月(88日間)以上の季節労働(ファームステイなど)に従事した証明が必要となります。

佐藤さんはこの制度を活用して、滞在期間を延長したうえ、オペアという制度も活用しているのです。オペアは欧米では認知度の高い文化交流を目的とした海外就労の制度の一つ。住み込みで子どものお世話をすることで滞在費・食費が無料になり、決められた額のお小遣いももらえる制度です。この制度も活用することで滞在費や生活費を賄えるだけでなく、本人が言っていたように英語力の向上やさらには異文化交流も可能になるのです。

最後に3のキャリアアップ型ですが、グローバルなキャリアを目指す場合、海外で働いた経験があるかどうかが明暗を分けます。また海外でホワイトカラーの仕事をするためには、ジョブ型ならではの専門性が求められるのですが、石井さんはWebディレクターの専門性や職業経験が留学エージェントでの海外就労に繋がります。経験を得るためにあえて無給で働き、次のステップにおいて本来自分が就きたい仕事を勝ち取ろうとする石井さんの戦略は理にかなっていると思います。

留学・就業先としてオーストラリアの人気は衰えない

残念ながらオーストラリアの連邦政府の政策として、現在は留学生の数を制限する方向で動いています。ただ、日本人にとっては欧米に比べると常に選択肢のトップに位置していて、その人気はまだまだ衰える気配はありません。

ジョブ型や外国人雇用が進みつつある日本においても海外で職業経験を積んだ若者への期待感が今後さらに高まりそうです。

※本記事に登場する人物名は、すべて取材に基づいた仮名です。

大川 彰一 留学ソムリエ 代表取締役

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おおかわ しょういち / Shoichi Okawa

日本認定留学カウンセラー協会幹事、TAFE Queensland駐日代表。1970年京都市生まれ。セールス&マーケティングに約10年間携わり、カナダに渡航。帰国後、留学カウンセラーとして4年間で約1000名以上の留学やワーキングホリデーに関わる。その後、米国の教育系NPOのアジア統括ディレクターとして約6年間、グローバル人材育成に尽力。海外インターンシップを大学の単位認定科目としての導入に成功、東北復興プロジェクト、アジアの国際協力プログラム開発にも携わる。現在は「留学ソムリエ®︎」として国際教育事業コンサルティングや留学の情報を発信。留学ソムリエの詳細はHPFacebookから。著書に『オトナ留学のススメ』(辰巳出版)。

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