心臓にはおびただしい数の…愛犬を死に至らしめた”生き物の正体”とは?「室内飼いだから大丈夫」と考えるのは危険すぎるワケ

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成虫は、宿主となる動物の心臓や肺の血管などに寄生し、血液中に子虫(ミクロフィラリアといいます)を大量に産み続けます。これにより宿主の心臓や肺の血管が傷つけられ、呼吸困難や腹水、貧血などの症状が引き起こされます。これをフィラリア症といい、イヌでよく見られる病気です。

ちなみに、フィラリアはネコなどほかの動物でも感染することがあり、人間に感染する種類のフィラリアもいます。

フィラリアの感染の仕組みはこうです。

蚊がフィラリアに感染した動物の血液を吸うと、蚊の体内にフィラリアの子虫が入り込みます。蚊の体内に入った子虫は2回の脱皮を経て、感染能力をもちます。

この子虫を持った蚊が動物の血を吸うと、子虫がその動物の体内に侵入し、皮膚の下でさらに2回の脱皮を行ってから血液中に移動。最終的に心臓や肺の血管にたどりついて成虫となり、オスとメスで交尾を行って、大量の子虫を産み始める――こうしてフィラリア症は広がっていくのです。

予防薬で100%防げるはずが…

ひと昔前までは、イヌの死因のトップはフィラリア症でした。現在はフィラリアによく効く予防薬があり、それを定期的に投与していれば、飼いイヌがフィラリア症を発症することは、ほぼ100%防げます。

しかし、このバーニーズ・マウンテン・ドッグの飼い主さんは、フィラリア症の症状が出ていたにもかかわらず愛犬を動物病院に連れていかず、そもそもフィラリア症の予防を行ってもいませんでした。

亡くなった子は、長期にわたってフィラリアに寄生されたことで、心臓や肺に慢性的な負担がかかっていたと思われます。亡くなる1年前から咳の症状が見られたのは、そのためでしょう。

治療が行われないまま、フィラリア症によって心臓と肺が蝕まれ、やがて腫瘍も併発して最後は呼吸困難で力尽きた――病理解剖から推測される「死のストーリー」は、このようなものになります。

遺体は高齢にしては体格がしっかりしており、毛づやもよく、愛情をもって飼われていたことがうかがえました。それだけに、心がけてさえいればほぼ確実に防げたフィラリア症の対策がされていなかったことが、なんとも残念でした。

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