日本支援で開業「ホーチミンメトロ」盛況は続くか 初の「都市鉄道」、渋滞の街で利用は定着する?

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ホーチミン市では最大8路線・全長200km以上の都市鉄道網の構築が構想されており、1号線の成功がその起爆剤となることが期待されている。

宮崎氏は「この鉄道の整備によって、ホーチミン市民の生活時間に“ゆとり”が生まれ、それが経済や教育への再投資にもつながる」と。さらに「都市交通は“ハード”だけではなく、制度や運行管理、人材育成といった“ソフト”の面でも日本が支援できることは多い」として、日本式のまちづくりモデル(TOD)との接続も意識されていると語った。

ホーチミンメトロ スオティエン駅
高架のスオイティエン駅に停車する電車(筆者撮影)

鉄道と一体の「まちづくり」根付くか

いくつかの駅では電気自動車や駐車場の整備も始まっており、周辺地域の住宅・商業開発と一体化した新たな都市像の萌芽が見られる。宮崎氏は「これは単なる交通整備ではなく、“都市が成熟する過程”そのものだ」と話す。

【写真をもっと見る】日本の地下鉄よりも立派?開業したばかりの真新しいホーチミンメトロ1号線の地下駅や高架駅、そして車内

開業までに紆余曲折はあったものの、好調なスタートを切ったホーチミンメトロ1号線。実際に乗ってみると、日本の技術と制度が都市空間にどのように組み込まれうるかを示す一つの具体例であると感じた。長期化した建設期間や現地の制度上の課題はあったものの、開業後の利用状況や市民の反応からは、一定の社会的インパクトがうかがえる。

スオティエン駅外観
夜のスオイティエン駅。電車が停まっているのが見える(筆者撮影)

都市鉄道のなかった巨大都市、ホーチミン市に誕生したメトロは街をどう変えていくか。この路線がこれからどのように都市や生活に作用していくか、引き続き注視していきたい。

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さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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