日本支援「ホーチミンメトロ」いまだ開業しない謎 「中国も手を出したがらない」ベトナムの事情
日本が官民を挙げ、ハード・ソフト両面から支援し、オールジャパンによる初の鉄道輸出プロジェクトとして2018年に開業するはずであった、ベトナムのホーチミンメトロ1号線。しかし、着工から10年を経過した今も開業に至っていない。
当初は業界内でも優良案件として捉えられており、同時期に着工したインドネシア・ジャカルタMRTプロジェクトとしばしば比較されてきた。ジャカルタ案件こそが「ババ」という見方も強かったが、現実にはジャカルタMRTは予定通りに2019年の開業を果たしたのみならず、順調にオペレーションを続けており、成功事例として評価されるほど立場は逆転した。
いつでも開業できそうに見えるが…
そんな中、開業の遅れから、ホーチミンメトロ1号線の車両をはじめとした鉄道システム一式を受注している日立製作所が同プロジェクトの施主であるホーチミン市人民委員会鉄道局(MAUR)に対し、約4兆ドン(約246億160万円)の賠償請求を行っていることが明らかになった。
日立は2013年に約370億円でCP3と呼ばれる車両、軌道、信号、通信、電力、架線、ホームドア、券売機・改札機、車庫設備を含む設備一式のパッケージを納期5年の契約で受注しているほか、開業後5年間の車両メンテナンスも別に受注している。一メーカーがこれらすべてをターンキー方式で受注するというのは非常に稀な例であるが、裏目に出てしまった格好だ。
インフラ部分の工事進捗率自体は9割を超え、いつでも開業できるかのように見えるホーチミンメトロ1号線だが、一体何が起きているのか。
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