日本支援で開業「ホーチミンメトロ」盛況は続くか 初の「都市鉄道」、渋滞の街で利用は定着する?

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プロジェクトは2007年に始動し、当初の開業予定は2018年だったが、実際に運行が始まったのは2024年12月で、17年もの歳月を要した。

ホーチミンメトロをめぐっては、日本でも「いつになったら走り出すのか?」といった論調も数多く聞かれた。用地取得の遅れ、予算執行の停滞、契約手続きの煩雑さ、そして新型コロナのパンデミックによる作業中断など、数々の困難に直面した。

ある関係者は、メトロ建設予定の路線上にまだ用地取得が終わっていない区間があるにもかかわらず「買収済み区間について先行して着工を求めるベトナム側の圧力が強かった」とのコメントもあり、建設の進行はかなり行き当たりばったりだったことがうかがえる。

ホーチミンメトロ1号線 車内
ホーチミンメトロ1号線の日本製車両の車内(筆者撮影)

工期延長でさまざまな問題

さらにこんな状況にも発展した。プロジェクトの長期化に伴い、日立製作所は2023年4月、工区工事の遅延による追加費用の補償を求め、ホーチミンメトロ管理委員会(MAUR)を相手取ってベトナム国際仲裁センター(VIAC)に申し立てを行っている。請求額は4兆ベトナムドン(約156億円)に上るとされる。契約上の工期延長とそれに対する補償責任を巡って、発注者と請負側の間で現在もなお係争が続いている。

工期が延長する間、建設中にもかかわらず採用された職員に対して給与を支払い続ける必要があり、人的リソースを維持するという課題も生じた。

こうした遅延を受け、伊藤直樹駐ベトナム大使は、2024年12月22日の開業日に「煩雑な行政手続きや工期の遅れ、日本企業への工事費支払いの遅延は、外国企業にとって大きなリスクと映る」と述べ、「このままでは、ベトナム市場への新たな大型投資には慎重にならざるを得ない」との厳しい見解を示した。

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