日本支援で開業「ホーチミンメトロ」盛況は続くか 初の「都市鉄道」、渋滞の街で利用は定着する?
ホーチミンメトロ1号線は運行開始の2024年12月から1カ月間、無料で乗車できる期間を設け、さまざまな習熟テストを継続した。
しかし、有償乗車に移行してからの状況はいかにもお粗末だった。自動券売機の設置はなされているものの、それをバックアップするデータセンターの建設が遅延し発券システムが使えないため、マスターカードのみ対応のタッチレス決済、あるいはQRコード入り乗車券の手売りが臨時措置として採用された。
タッチレス決済で電車に乗れるといった文化そのものが浸透せず(そもそもカード保持者の割合も低い)、多くの市民が切符を買い求める列に並び、筆者が試乗した1月下旬には、購入完了まで1時間以上かかっていた。その上、自動改札機を初めて使う人々も多く、切符をどのようにかざしたら改札を通れるのか理解できていないといった状況も数多く目にした。

駅や車内は「日本の雰囲気」
一方、ホームドア付きのピカピカのプラットフォーム、そしてメトロ車両は「いかにも日本の技術」という雰囲気が満載。日本っぽいデザインのさまざまな表示の上にベトナム語が載る様はなかなか興味深い。

乗車してみると、車両が日立製作所製造、設計のベースは同社が海外展開している通勤型標準車両ATシリーズということもあり、プラスチック剥き出しの座席部分を除くと、このまま東京の郊外まで連れて行ってくれるのでは、と思うほど「日本の雰囲気」が充満している。最も近い“見た目”は、車体形状で言えば東武鉄道50000系、内装・機能面では東京メトロ16000系に近いと言えようか。
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