日本支援で開業「ホーチミンメトロ」盛況は続くか 初の「都市鉄道」、渋滞の街で利用は定着する?

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乗車する市民たちの反応からは、鉄道という移動手段への“距離感”も垣間見えた。スピードや揺れに慣れないのか、身なりの整った若い男性が両手で吊り輪に必死につかまっている。一方で、日本での生活経験があるとみられる親子は、母親がホーチミン高島屋のデパ地下で買った惣菜を持ち、淡々と電車を使いこなしていた。メトロという存在に対する“習熟度”の差が、無言のうちに表れていた。

ベトナムで「メトロ」の名を冠する都市鉄道としては、中国の支援で建設されたハノイの2A号線(カットリン・ハドン線)が2021年11月に先行開業しているが、同路線には地下区間が存在しない。

一方、ホーチミンメトロ1号線は、市内中心部のベンタイン駅からバソン駅までの約2.6kmを地下で走行する。乗客の中には「地下に電車で潜る」体験を目的とした人も多く、発車から数分後、地上に出た瞬間には、車内に感嘆とも失望ともつかない声が漏れた。

ホーチミンメトロ1号線 オペラハウス駅
地下のオペラハウス駅に停車する電車(筆者撮影)

「まるで東海道新幹線開業時のよう」

グランドオープニング式典は開業後の2025年3月9日に開かれた。ベトナム政府高官、市民代表など700人以上が出席し、歴史的な開業を祝った。

式典に出席したJICA副理事長の宮崎桂氏は「式典は想像以上に洗練されていて驚いた」といい、「プロのパフォーマーによる舞踊、日本語・英語・ベトナム語を自在に使い分ける司会者、市場の中に設置された仮設ゲートから地下鉄に乗車するというサプライズ演出まであり、ホーチミン市の本気度が伝わってきた」と語る。

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