前出の照明器具メーカーの関係者によれば、“トランプ関税”の支払いを誰が(アメリカ税関に対して)行うかは、中国のサプライヤーとウォルマートの契約内容により違いが生じる。

仮に取引条件がFOB(本船渡し)の場合、ウォルマートが輸入業者としてアメリカ税関に通関申告を行い、関税を支払う。しかし取引条件がDDP(関税込み持ち込み渡し)の場合、関税、通関手続き、国際輸送などのコストをすべてサプライヤーが支払うことになる。
(訳注:FOB契約では輸出国の港で貨物が船に積み込まれた時点で、関税を含む費用やリスクの負担が輸入業者に移る。それに対し、DDP契約では輸入国の指定された場所で貨物を引き渡す時点まで、費用やリスクを輸出業者が負担する)
消費者の購買力低下に懸念
4月21日にトランプ大統領と会談したのは、ウォルマート、ターゲット、ホーム・デポのCEO(最高経営責任者)を含むアメリカ小売り大手の経営幹部たちだ。この会談の終了後、トランプ大統領は「(話し合いは)とても順調に進んだ」とコメント。上述の3社も「建設的な会談だった」と評価する声明をそれぞれ発表した。
アメリカの小売業は(店舗で販売する)日用品の調達で中国のサプライヤーに深く依存している。全米小売業協会は2024年11月、トランプ大統領の関税案が導入された場合に、アメリカの消費者の購買力を最大で年間780億ドル(約11兆1558億円)押し下げるという試算を公表していた。

小売り大手幹部との会談翌日の4月22日、トランプ大統領はホワイトハウスでの記者会見で、中国からの輸入品に課している145%の追加関税について「非常に高い」という認識を示し、「大幅に下がるだろうが、ゼロにはならない」と発言した。
それとほぼ同時に、ウォルマートは中国のサプライヤーに出荷再開を要請した格好だ。近い将来の追加関税引き下げを見越し、(商品の生産や輸送にかかるタイムラグを縮めるための)対応に着手した可能性が高い。
(訳注:記事原文が配信された後の5月12日、米中両国は相互に課している追加関税を一定期間引き下げることに合意したと発表した。アメリカは中国製品に課す関税率を145%から30%に、中国はアメリカ製品に課す関税率を125%から10%に引き下げ、期間は90日としている)
(財新記者:孫嫣然、覃敏)
※原文の配信は4月30日
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