できる人が実践する「トヨタ流」段取り術 「そわそわ」待つ時間に改善のネタがある
スケジュールの遅れやトラブルの発生など、プロセスの途中で発生した問題を看過せず、一つひとつ解決していくことが大切です。こうした取り組みは「不良・手直しのムダ」の排除に留まらず、仕事の質の向上にも寄与します。
品質・信頼に影響を及ぼす場合には「止める」
しかし、このようなプロセス途中にある問題を解決するだけでは、全てのケースに対応することはできません。本日の最後は、その場で「止める」という判断を行う重要性についてお伝えします。
トヨタ生産方式の柱のひとつが「ジャストインタイム」、つまり、「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」という考えです。そのため、在庫は必要最低限で、生産スケジュールの面でも余裕はありません。この概念の実現を可能にするのが「自工程完結」、つまり、それぞれの工程で品質を完璧につくり込む(担保する)という考え方です。各工程で完璧な品質の物が造られるからこそ、予定どおりの完成品生産が可能で、在庫不足や納期遅れが発生しないのです。
トヨタでは、自工程完結の徹底を目指したエピソードが数多くありますが、今回は日本から遠く離れた南アフリカの工場での事例をご紹介します。
南アフリカ工場では、仕入れ先の設備故障や労働問題などで、部品納入が停滞することがありました。しかし、生産・営業の当事者たちは生産活動の継続を強く希望し、部品在庫が枯渇した後も生産自体は続け、欠品となっている部品は後付けで対応しようとしました。しかし、それを聞いた現地の社長は「とんでもない! 生産をとめなさい!」と指示を出しました。部品の後付けは品質面での懸念が大きく、仕掛り車両を置いておく場所の確保にも高いハードルがあったのです。
この決定によって、一時的に生産量と売り上げはダウンしました。しかし、そのまま生産を続けていれば、品質問題が発生して大問題になっていた可能性もあります。このように、品質や信頼に影響を及ぼす=自工程完結ができない可能性がある場合には、敢えて「止める」という判断も必要です。さきほどの企画書作成の例であれば、深夜の作成は品質を下げるリスクが大きいので「止めて」、翌日早朝出勤で対応した方が良かったということです。
このように、プロセスの途中で発生している問題を見逃さずに解決していくこと、品質・信頼に影響する場合には勇気をもって「止める」判断を行うことが、「ミス・手直しのムダ」をなくし、仕事の質を上げるポイントなのです。
☑仕事の予定は、各業務の納期とリードタイムでパズルのように組んでいく
☑急な空き時間を有効活用できる仕事を、常にいくつか準備しておく
☑力業を過信しない。大きなトラブルに発展させないために、必ず再発防止をする
☑事前の再発防止策で対応しきれない場合には、「止める」勇気をもつ
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