日本企業はだいたい「市場の声」を聞き過ぎる

だからiPhoneに完敗した

「iPhone6S」シリーズはなんだかんだで売れている(撮影:大澤 誠)

9月下旬に登場したアップルの新型スマホ「iPhone6S」シリーズ。日本では昨年の「iPhone6」シリーズ発売時のようなお祭り騒ぎの大行列は見られなかったものの、アップルによれば「iPhone6S」「iPhone6S Plus」2機種合計の全世界における販売台数は、発売から3日後の9月28日時点で1300万台以上と、歴代モデルで最高の初速を記録した。今週10月9日にはイタリアやロシア、スペイン、台湾など新たに40カ国以上で販売が始まり、2015年末までには世界130国以上に販売地域が広がる。

iOS端末(iPhone, iPadなど)の累計販売台数は、2014年末で10億台を突破。世界の人口が約73億人なので、高齢者や未就学児を含めて今や世界の7人に1人以上がiOS端末を持っている計算だ。

日本のiPhoneシェアは5割超

iPhoneは今や新型が出れば世界中で飛ぶように売れる。世界シェアは約16%と、同28%の韓国サムスン電子(2014年TRENDFORCE調べ)に劣るものの、なんだかんだ日本では5割超のシェア(2015年1~3月期、IDC調べ)を握り、いまだに圧倒的な人気を誇る。

iPhoneに日本人が飛びつくのは、それが「イノベーション」(革新、新機軸)を体現しているからであろう。2007年発表当時の初代iPhoneは、インターネットを前提にした小さいパソコンであり、音楽プレーヤーでもあったが、携帯電話として考えると、あまりにも衝撃的だった。

それまで日本人が普通に使っていた携帯電話、いわゆる「ガラケー」と比べれば、iPhoneにはアンテナもないし、ボタンも最小限しかない。画面の大きさも段違い。加えて、スタイリッシュだった。そしてモデルを重ねるごとに着実に進化を遂げ、ユーザーの心をつかんでいる。

イノベーションという言葉は、1911年に、オーストリア出身の経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターによって、初めて定義された。「シュンペーターの経済発展論の中心的な概念であり、生産を拡大するために労働、土地などの生産要素の組み合わせを変化させたり、新たな生産要素を導入したりする企業家の行為をいい、革新または新機軸と訳されている」(コトバンク)

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