日本企業はだいたい「市場の声」を聞き過ぎる だからiPhoneに完敗した

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同じスタンスで臨める日本企業のトップがどれだけいるだろうか。多くの場合、企業トップが商品開発に直接携わることは少なく、担当役員レベルに権限移譲しており、トップ自身は現場を離れて時間が経っている。スキル的にもセンス的にも難しい。

加えて、創業経営者でなければ、コンセンサス型リーダーシップ(日本企業に限らず)が一般的なので、独断で突っ走るということはあまりないだろう。それに、市場リリースが遅れることに起因する逸失利益に対して、去就のリスクをとれるか、という点もある。日本の上場企業で役員報酬が年1億円を超えるのは500人弱。サラリーマン社長の場合、数千万円をもらえれば御の字で、思い切ったリスクを取ることに躊躇するのかもしれない。

日本企業は「謙虚」でいいのか

このように考えると、日本企業のイノベーションを阻害しているのは、経営トップの姿勢にありそうだ。端的に言えば、「どこに軸を置くか」の違いだ。たとえば、「市場に聞かない」アップルは、一見すると自身に軸を置いて「傲慢」に振る舞っているように見え、「市場に聞く」日本企業は市場に軸を置いて「謙虚」に消費者に応えているようにも見える。

ただし、それはイノベーションという観点で考えると、必ずしも正しくない。少し見方を変えればアップルは結局、「消費者から見てこれが欲しかった商品やサービスをつくる」という観点を持っている。日本企業が市場の声を聞くというのは、ほとんどのケースで「今ある発想を超えられない」。そして「流通者の事情を最大限忖度することにも実は重きを置いている」というふうにもとらえられる。

どちらが消費者の支持を得られるのだろうか。実は誰から見てもシンプルに答えが出せる構図がそこにはある。

宮本 竜弥 メディアプランナー/立教大学兼任講師

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みやもと たつや / Miyamoto Tatsuya

1991年アメリカから帰国後、財務リスクヘッジを行う米系企業に入社。その後、KPMG、日本オラクルで営業本部長を経て、2007年に株式会社イエルバ・ブエナ創業。2011年に某上場企業に事業譲渡。以来、研修(大手電機 メーカーなどで、「リーダーシップ」、「コミュニケーション」、「論理思考」などをトレーニング)のほか、フレンチレストラン運営なども手掛ける。立教大学経営学部兼任講師も務める。

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