トヨタの人は、なぜ「段取り」がいいのか? 多くの人が見落とす「基本中の基本」

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しかし、完璧にさえ見えるこの流れ、実は最も大事なことが最初に大きく抜けています。それは、目的の確認です。桜を見ることが目的であれば開花時期や天気次第では日程変更も選択肢のひとつですし、新入社員の歓迎が目的であれば花見に限らずに居酒屋でもいいかもしれません。

このように、目的次第で考えるべき項目が大きく変わってきます。多くの方が段取りを考える時に「How(どうやるのか=手段)」から考えがちですが、最初に注目すべきは「Why(なぜやるのか=目的)」。目的を明確にしてから、具体的な手段を考えるのが本来の流れです。

最終ゴールは主作業の割合の最大化

目的が明確になれば、どのような仕事に最も注力すべきかも明確になります。トヨタでは、目的に寄与する付加価値を生むかという基準から、下のように仕事を3つに分けて考えています。

たとえば営業担当であれば、仕事の目的は売り上げの獲得であり、それに寄与するのはお客様との商談です。従って、主作業はお客様との商談であり、商談のための資料作成は付随作業に、アポイントの間の待ち時間やうっかりミスが原因のクレーム対応はムダ・例外作業にあたります。生産性を向上させるためには、付随作業やムダ・例外作業を極力少なくして、主作業の割合を最大化することが必要です。

皆さんの24時間の中で、主作業の時間は何割あるでしょうか。細かいムダの考えはこれから徐々にお伝えしていきますが、個々の仕事の目的やご自身の役割を明確にし、何が主作業かを意識するだけでも格段に時間の使い方が変わってくるはずです。

「加工のムダ」とやりすぎ

それでは、「7つのムダ」のひとつ、「加工のムダ」をご紹介します。これは、生産・品質に寄与しない不要な加工を指し、本来の仕事の完成度に影響しない不要な作業のことです。

つまり、先ほどお伝えした「目的」に寄与しない仕事、わかりやすくいうと「やりすぎ」です。たとえば、顧客の声をすべて取り入れて機能が高度化・細分化された電子機器なども、その一例。当初は顧客の声に応えたいと始まった機能性アップではあるものの、そこまで対応する必要はなかったのかもしれません。

「加工のムダ」は、目的が理解・共有されていないことでよく発生します。身近な例で考えてみましょう。

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