以下、定着率100%の企業のうち、新卒入社者が多い順に、乃村工藝社(36人)、伊藤忠食品(34人)、TBSホールディングス(31人)、NTTアーバンソリューションズ(30人)、博展(28人)、丹青社(26人)、平田機工(25人)と続く。
定着率100%に届かなかった上位企業には、ファナック(98.8%、173人)、竹中工務店(98.4%、191人)、三菱商事(98.4%、123人)などがある。
全体の平均は78.4%(2024年4月1日時点)。業種別(集計対象が10社以上)では、医薬品(91.1%)、電気・ガス業(89.4%)、非鉄金属(86.7%)などが高い。一方で、証券・商品先物(57.6%)、小売業(61.4%)、サービス業(64.3%)、パルプ・紙(70.1%)、不動産業(73.5%)などは低かった。
しかし、平均値が低い業種にあっても、高い定着率を維持している企業はある。不動産業では、NTTアーバンソリューションズが定着率100%。有休取得率は8割台。残業時間は月30.6時間だが、全社員研修や業務効率化など残業削減に取り組んでいる。
サービス業では、乃村工藝社が定着率100%。小売業ではエイチ・ツー・オー リテイリングが95.1%(41人)と健闘。残業時間は12.1時間で、計画年休を設定し、全社的に年休取得を促進している。
ランキング上位企業の特徴は?
新卒3年後定着率の推移を見ると、2017年4月時点の83.7%(『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2018年版)から、2024年4月時点の78.4%へと、低下傾向が続いている。背景には、「売り手市場」や転職市場の拡大といった外部環境だけでなく、新卒社員のキャリア感の変化もあるだろう。

一方で、企業側から見れば、こうした早期離職の防止は重大な経営課題の1つだ。本ランキング上位企業の特徴として、労働環境の整備、業界内でのプレゼンス向上のほか、若手の成長に関する取り組みを拡充している企業が多い。
例えば、社内外における兼業・副業制度や、社内のポジションを公募する手挙げ制度などの導入が進んでいる。企業の人材マネジメント強化の例としても本ランキングを活用してほしい。
なお、今回紹介した内容は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2025年版に掲載しているごく一部だ。『CSR企業総覧(ランキング&集計編)』2025年版や「東洋経済CSRデータ」でもさまざまなデータを提供している。
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