高齢者世代はお荷物どころか、急速に成長している「新興マーケット」。求められるのは「老い方を変えるのを後押しする商品やサービス」だ

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もしあなたが老化科学の可能性に胸躍らせている半面、飛躍的に長くなる人生で必要になるお金のことを心配しているとすれば、バイオテクノロジー系の新興企業に投資することが一種の長寿保険になるかもしれない。

あなたの投資している企業が画期的な成果を挙げて、寿命をさらに延ばす方法が見いだされれば、その会社の株価が上昇してあなたの資産が増加する。その結果、あなたは、その会社の商品を購入したり、長くなる人生で必要とされるお金を確保したりすることが可能になる。

もっとも、投資のリスクという面では、アーリーステージのバイオテクノロジー企業ほどリスクの大きい投資対象は少ない。破綻した会社の数は、目覚ましい成長を遂げた会社の数をはるかに上回る。長寿化研究を切り開こうとする人たちは、明るい見通しをしきりに語るが、これまでのところ、医薬品として認められるだけの有効性が実証された治療法はひとつもない。

高齢者は若い世代より資産を持っている

しかし、長寿化に投資する手立てはほかにもたくさんある。その多くは、バイオテクノロジー企業への投資ほどリスクが大きくない。

EUは、シルバー・エコノミーを「50歳以上の人たち自身が購入する商品やサービスをはじめ、この世代のニーズに応えるための経済活動と、そのような支出によって可能になる経済活動のすべて」と定義している。AARP(1958年創設。旧名称は「アメリカ退職者協会」)や国際長寿センターなどの団体は、シルバー・エコノミーが巨大なビジネスチャンスを生むと主張している。

理屈はいたってシンプルだ。高齢者の数が増えているうえに、高齢者は概して若い世代より所得が多く、資産もたくさんもっていて、消費に回す金額も大きい、というのだ。実際、50歳以上の世代の支出は、すでに経済の大きな割合を占めており、その割合は今後ますます大きくなると予想される。この年齢層を対象とするビジネスをおこなう新興企業が投資家向けに用意する資料では、しばしばこうしたことが強調されている。

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