東武のSL大樹「電車の運転」とどのくらい違うのか 機関区のベテラン社員が語る「腕の見せどころ」

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実に職人芸、SLの機構を知り尽くしているのは前提として、余裕を持った運転には感覚に頼る部分も欠かせないということなのだろう。希望すれば誰でもできるわけではないというのがよくわかる。

さらに、SLには電車以上に車両ごとの“個性”があるのだとか。東武鉄道のSLは3両。すべて「C11形」という形式だが、JR北海道から借り受けている「207号」、真岡鉄道から譲り受けた「325号」、静態保存されていた車両を復元した「123号」と、それぞれまったく異なる個性を持っている。車両科長の大谷秀明さんは次のように話してくれた。

「同じ形式で同じ構造でも、やっぱり車両によってみんな微妙に違うんです。ついている部品が違うこともありますし。運転のほうとも話しながら、できるだけ同じようにしようと手を入れたりはしているのですが、それでもなかなか。とくに『207号』は北海道からの借り物なので、自由に手を入れられるわけではないですから」(大谷車両科長)

車両それぞれにクセがある

もちろん車両ごとの個性は運転にも大きく関わってくる。

「私の印象ですが、『123号』は本当にがっちり作ってくれた感じで、遊びが少ないんですよね。そういう個性に加えて、焚火担当機関助士のクセもあるし、機関士のクセもある。運転の仕方でいろいろ変わってくるので。人と車両、それぞれの性格やクセでぜんぜん変わってくるんです」(真壁機関区長)

東武鉄道 SL大樹 「C11 325」
動力やブレーキ、発電機に用いる蒸気を生むのもここから。すべて人の手で操作する(撮影:鼠入昌史)
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