「キハ181系」急勾配に挑んだ特急型気動車の記憶 「しなの」「つばさ」から山陰・四国の列車まで

今では全国各地を当たり前のように走っている特急列車だが、全国に特急網を広げたのは気動車の功績が大きかった。
1961年に登場した国鉄のキハ82系は、まだ非電化路線が多かった時代に特急運転の拡大を実現し、鉄道の近代化に大きく貢献した。その後継として、勾配のある山岳路線向けに登場したのが大出力のエンジンを搭載したキハ181系である。
曲線的で優美なデザインのキハ82系は名車として語られることが多く、今でも鉄道ファンの人気が高いが、似たデザインながら角ばった外観とパワー重視のキハ181系はやや注目度が低かったように感じる。だが、筆者はキハ181系のパワフルさに魅せられた。今回は、山岳路線の特急を支えた実力派、キハ181系の足跡を振り返りたい。
豪快なエンジン音とパワフルな走り
キハ181系は、エンジン出力が小さく勾配線区に不向きというキハ82系の弱点を改良した大出力エンジンの特急気動車として、1968年に当時非電化だった中央西線の特急「しなの」でデビューした。
車体はキハ82系によく似たパノラミックウィンドウの前面貫通型だが、窓上のヘッドライト部分がキハ82系では丸みのあるデザインなのに対して角ばっているほか、中間車の屋根上には大出力のエンジンを冷却するための巨大なラジエーターを搭載しており、キハ82系と比べて全体的にいかつい外観が特徴であった。
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