東武のSL大樹「電車の運転」とどのくらい違うのか 機関区のベテラン社員が語る「腕の見せどころ」

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電車とはまったく違う乗り物がゆえ、電車運転士の次のステップで、というほど簡単にはいかないようだ。

ともあれ、こうして選抜された機関士たち。普段は南栗橋以北の普通列車(つまり電車)の運転もしつつ、ローテーションでSLの乗務も担当する。伊藤健一運輸科長によると「だいたい1人が月に3回SLに乗務する」という。

「なかなかハードな仕事ですから、なるべく立て続けに同じ人が担当しないようにといった配慮はしています」(伊藤運輸科長)

「C11形325号」は真岡鉄道から譲り受け、2020年から東武で活躍中。出番がない日でも火は落とさない(撮影:鼠入昌史)

SLの運転はチームワーク

機関室に入るのは、通常3人だ。役割分担は明瞭で、機関士は運転のすべてを担う司令塔。ただ、SLの運転席が車両の先端にないため、電車ほどは前方の視認性に恵まれていない。

とくに運転席に座ってしまうと左側しか見通すことができないのだ。そこで、機関助士の1人が反対側の窓際に座り、右側の前方確認をする。そして、もう1人の機関助士が焚火(ふんか)担当。スコップを使って火室に石炭を放り込む投炭が仕事だ。

「この3人のコミュニケーション、とくに機関士と焚火担当機関助士のチームワークが大事なんです。機関士がどこでどのくらいの圧力を使うのか。それを暗黙のうちに理解して、機関助士が投炭する。これがうまくいかないと、どうしてもムダが出てしまう。必要以上に石炭や水を使ってしまうんですね。いかに石炭や水を使わずに行って帰ってくるか。これが機関士の腕の見せどころでもあるので」(眞壁機関区長)

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