AIJ年金消失問題で一斉調査、問われる金融庁の監督責任

金融庁では、今回の行政処分にあたり、AIJの2010年12月末時点の運用資産を1832億円と発表しているが、あくまでこれは国内分だけ。10年12月末の事業報告書には海外契約分が2件で規模は約2000億円もある。これを含めると同時点での運用総額(国内・海外の合計)は約3900億円にもなる。

しかし、最新の要覧に掲載された11年3月末時点では海外契約数は1件、約230億円に急減しており、わずか3カ月後に海外契約分の約1800億円が抜け落ちたことになり、運用規模の急激な増減が際立つ。

AIJ問題を受けて、金融庁は投資一任業務を行う金融取引業者265社に対し、一斉調査に乗り出した。業者に送られてきた資料を見ると、当局への報告要請項目は、会社の沿革に始まり、顧客名及び属性(国内か海外(地域別)か、公的年金か私的年金か、など)、外部監査の有無、顧客ごとの投資一任契約の内容や契約金額、発注先ブローカーの状況に至るまで、事細かく15項目にも及ぶ。

一斉調査で他の事業者に問題が見つからなかったとしても、金融庁によるAIJのチェックに基本的な見落としはなかったのかという点は残る。実際、細かい投資手法に立ち入らずとも、同業者がAIJの事業報告書を見ただけで不可解な点が散見されるだけに、当局の監督責任が大きく問われる。
(井下健悟 撮影:尾形文繁 =東洋経済オンライン)

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