「最先端IC封じ」をかわす中国ハイテク産業の野望。先頭はファーウェイ、自国完結のサプライチェーン

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ICは一般に、プロセスが微細であるほど演算能力が高く、消費電力が小さい。これらはスマホや生成AIに欠かせない性能だ。ただ、素材のシリコンウェハー上に7ナノ以下の回路パターンを形成するには、EUV(極端紫外線)を光源とする露光が必要だとされる。

EUV装置は技術が非常に難しく、製品化できているのは世界でオランダのASML1社だけ。米政府が対中輸出の禁止対象に指定しており、中国メーカーによる導入実績はない。このため、ファーウェイがこのロジックICをどう調達したのかが当時は大きな謎だった。現在は、ハイシリコンが設計したうえで、中国半導体最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)がファーウェイの技術支援を仰いで量産したというのが定説だ。

ファーウェイが3月末に発表した24年12月期の売上高は8621億元(約16兆8000億円)と前年度比で22%増えた。スペアタイヤ計画によるIC調達の安定で、スマホなど消費者向け事業が38%増と復調したのが大きい。

事業売却益がなくなった反動で純利益は28%減ったが、米制裁に伴う経営危機からは脱却したとみてよい。任氏が2月の座談会でスペアタイヤ2.0に言及した背景には、ファーウェイの経営が新たな段階に入った点があるようだ。

2月にファーウェイ創業者の任氏(左写真中央)は国産半導体やOSの欠如に対する懸念が和らいだと発言(写真:CCTV)

育成と供給の両面で支援

現時点では、会社側からスペアタイヤ2.0に関する公式な説明はない。しかし最近の動きを観察すると、ファーウェイ自体のBCPにとどまらず、中国の半導体・AI産業全体を2つの側面から支える計画であると推測できる。

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