「時給1200円の日本より、時給1700円の韓国」という残念な現実。《1ドル=109円》水準でないと外国人労働者はもはや日本に来てくれない!
現在の日本で、人手不足が最も深刻な分野は、介護だ。介護を受けたくても人手が足りないという事態が、すでに現実の問題になっている。
この分野においても、外国人労働者が強力な支援になる。しかし、これまで述べてきたのと同じ問題がある。
しかも介護の場合には、人材を求めている日本の競争相手国が、造船業の場合よりはるかに多い。造船業の技能工を求めている国はそれほど多くはないが、介護人材が必要というのは、どの先進国でも同じだからだ。したがって、国際的な競争は造船業の場合より厳しいと考えるべきだろう。
従来はフィリピンから日本に来ていた介護労働者が、最近の円安のために日本に来なくなり、オーストラリアに向かっているとの報道もある。円安状態から脱却できなければ、この傾向はさらに加速してしまうだろう。
いまや韓国や台湾は日本より豊かな国
日本が提示できる時給が韓国より低くなってしまうのは、韓国が日本より豊かな国になったからだ。
国の豊かさを示す指標としてしばしば使われるのは、一人当たりGDPだ。
2000年においては、一人当たりGDPで見て、日本はアメリカより豊かな国だった。
韓国や台湾に比べると、3倍、あるいはそれ以上に豊かな国だった。
しかしその後、日本の一人当たりGDPは停滞を続けた。2010年から11年頃の円高期に再びアメリカに近づいたが、それ以降は、日本のドル換算の一人当たりGDPは下落した。そして、2022年以降の円安の影響でさらに下落した。いまや、日本の一人当たりGDPはアメリカの4割以下でしかない。
韓国や台湾の一人当たりGDPも顕著な上昇を示し、2022年頃には日本とほとんど同レベルになった。そして、2024年においては、韓国と台湾の一人当たりGDPは日本を抜いた。
なお、以上の変化は、為替レートの変化だけで生じたものではない。自国通貨建てで見ても、日本の一人当たりGDPの成長率は低い。それに円安の影響が加わって、このような事態になってしまっているのだ。
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