「時給1200円の日本より、時給1700円の韓国」という残念な現実。《1ドル=109円》水準でないと外国人労働者はもはや日本に来てくれない!
人材獲得競争に影響するのは、賃金の水準だけではない。もう一つの重要な要素として、永住権を得られるかどうかという問題がある。
途上国からの技能労働者の多くは、単に出稼ぎ労働をしようと考えているのではない。家族を帯同して一緒に生活したいと考えているし、できれば永住権を獲得して移住したいと考えている。
日本にも、「特定技能制度」がある。一定の条件の下で、家族帯同が認められるし、永住権の申請もできる。造船業は、この制度の対象とされている。ただし日本の制度の要件はかなり厳しく、この点でも日本は韓国に比べて見劣りがする。
だから本当は、賃金が同水準になるだけでは十分ではない。もっと高い賃金を日本がオファーできなければならないのだ。
特定技能制度だけでは十分ではない
国際的な人材獲得競争は、いうまでもなく、造船業に限った問題ではない。さまざまな分野で同様の問題が生じている。前項で述べた特定技能制度は、この問題に対処するために作られたものだ。
ただし、この制度がうまく機能するためには、日本の賃金が高くなければならない。賃金が競争相手国より低いのでは、どんな制度を作っても人材獲得は困難だ。
日本国内での賃上げだけでなく、為替レートを円高に導くことによって、国際的な面での日本の魅力を増していくことがどうしても必要とされる。
これまで多くの日本人は、日本が認めさえすれば、外国から労働力はいくらでも獲得できると考えていた。確かに、ある時点まではそうだった。
しかし、韓国をはじめとして近隣国の所得が著しいスピードで上昇しているため、もはや日本が求めても外国人労働者が日本に来てくれないという状態になっているのである。
そして、円安の進行が、それに拍車をかけた。本章の冒頭で述べた造船技能工の問題は、こうした状況を象徴するものだ。
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