姉「私が実家をもらうから」宣言で姉妹に亀裂! 相続は「兄弟姉妹」関係を破綻させる一大リスク 親の「遺言書」はトラブル回避のための愛だ

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一方、後者は、自筆で書き、遺言書の内容については、公証役場のチェックを受けることはできません。じつは以前は、確実性や安全性において、リスクのある方法でした。自筆が基本のため、書き間違いを起こしやすく、さらに遺言書の保管は基本的に自宅だったからです。家庭裁判所での検認手続きも必要で、迅速性にも劣っていました。

しかし、2020年7月から「自筆証書遺言書保管制度」がスタートし、自筆証書遺言の有効性は格段に高まりました。

間違いやすい財産目録は、自筆ではなく、パソコンでの作成や書類の添付でOKで、法務局で保管できるようにもなりました。さらに、検認手続きも不要で、すぐに相続手続きに入れるようになりました。つまり確実性や安全性、迅速性がアップしたのです。

「姉に相続させない」遺言書を作った妻

実際、私は妻と一緒に、自筆証書遺言を作成し、横浜地方法務局の湘南支局に保管されています。私と妻には子どもがいないため、妻が亡くなると、妻の姉が相続人となります。そこで、姉には相続させない旨を記した遺言書を作ったのです。

実際に遺言書を作って感じたのは「これで遺産相続時の対策は万全だ」という安心感の大きさでした。

なお、遺言書を作成する際は「遺留分」には注意すること。遺留分とは、一定範囲の相続人に対して保証されている、最低限の相続財産留保分のことです。一定範囲の相続人とは、「配偶者」「子ども(子どもが死去していたら孫)」「両親(両親が死去していたら祖父母)」となります。「被相続人の兄弟姉妹」には遺留分はありません。

遺留分の割合は「法定相続分の2分の1」(相続人が直系尊属のみの場合は法定相続分の3分の1)となります。

この遺留分を考慮せずに遺言書を作成すると、いろいろともめ事が生じてしまうので、注意してください。

私の妻の相続については、義姉とのやりとりを見ると、「義姉=実家相続」「妻=何もなし」ということになる可能性が強いでしょう。妻も諦め気味です。

皆さんは、そうした事態にならぬように、ぜひ今のうちに対策を講じておいてください。

永峰 英太郎 フリーライター

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ながみね えいたろう / Eitaro Nagamine

1969年、東京生まれ。明治大学政治経済学部卒業。業界紙記者、夕刊紙記者、出版社勤務を経て、フリー。企業ルポ、人物ルポなどを得意とする。主な著書に『日本の職人技』『「農業」という生き方』(アスキー新書)、『カメラど素人が、プロのカメラマンに撮影のテクニックを教わってきました。』(技術評論社)などがある。

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