ジム・ロジャーズ「金融緩和と円安を続けても日本は貧しくなるばかり」、日本の没落を防ぐには何をすればいいのか

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世界的な投資家のジム・ロジャーズ氏は「金融緩和と円安は日本にとって有益ではない」と断言する。(写真:Luxpho〈Takao Hara〉)

シンガポール在住、ファイナンシャルプランナーの花輪陽子です。第1回「史上最長相場の終焉は近い」、第2回「オルカン投資は割高の可能性」に続き、ジム・ロジャーズ著『世界大激変:混乱する世界をどう読むか』から、ロジャーズ氏が考える日本の問題についてお伝えしたいと思います。

アベノミクスは結局「本質的問題」には踏み込めず

『世界大激変: 混乱する世界をどう読むか』(ジム・ロジャーズ 著/花輪陽子/アレックス・南レッドヘッド監修・翻訳)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「アベノミクスから12~13年が経過して、私の評価が正しかったことが証明されようとしている。空前の金融緩和を進め、円の価値を引き下げた一連の政策によって、日本の国民の生活は良くなっただろうか。その逆で、円安で海外からの輸入コストが上がり、アベノミクス前よりも多くのお金を払わなければ、日本では同じレベルの生活を維持することができなくなっている。つまりは、それだけ日本が貧しくなったということだ」

「国内だけで生活している人は物価が多少上がった程度で、さほど日本が貧しくなったという実感がないかもしれない。しかし、日本だけでなく海外を良く知っている人は違った反応をするはずだ。例えば、海外に行って、12~13年前に1万円で買えたものと、現在、海外で1万円で買えるものを比べた場合、おそらく現在は半分程度のものしか買うことができなくなっている。もちろん、海外の物価が上昇していることも要因ではあるが、円の価値が下がっていることが大きな理由だ」

ロジャーズ氏は、アベノミクスの大胆な金融緩和と円安政策によって、日本経済は一時的に刺激され、輸出企業にとっては追い風となり、株式市場は活性化したと考えています。しかし、その反面、実体経済の改革(構造改革)が不十分で、本質的な問題(人口減少、労働市場、規制改革など)には踏み込めなかったことを批判しています。

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