ジム・ロジャーズ「金融緩和と円安を続けても日本は貧しくなるばかり」、日本の没落を防ぐには何をすればいいのか

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そして、大規模な金融緩和による副作用として、政府債務の増加、将来の通貨価値や経済の健全性に対する懸念を抱いています。

彼は一貫して「根本的な構造改革こそが重要」と考えており、中央銀行による金融操作に過度に依存する経済政策には懐疑的なのです。

進む円安、日本人の購買力は低下するばかり

今起きている変化は、日本国内で生活しているだけでは実感しにくいかもしれません。確かに、物価が上がったという感覚はあっても、それが「円の価値が下がったことによる日本の購買力の低下」と直結していると理解している人は、それほど多くないかもしれません。しかし、私のように海外で生活している立場から見ると、その変化は非常に明確です。

例えば、私がシンガポールに移住した当時、1シンガポールドルは70円台でした。それが現在では110円台となり、為替レートだけでも1.5倍以上に円安が進んでいます。この影響で、現地の物価は日本円で換算すると激しく上昇したように感じられます。

かつては日本円である程度の水準の生活が送れたのに、今では同じ金額では現地のレストランやスーパーで買えるものがぐっと少なくなりました。教育費、家賃、医療費など、生活の基盤を支える支出も高騰し、日本円を主な資産とする日本人にとっては、非常に厳しい状況です。

日本からシンガポールに来る旅行者も、最近は「何もかもが高すぎる」と驚くケースが多く、旅行そのものを躊躇する人も出てきています。これは円の価値が国際的に下がったことの証拠であり、日本人の購買力の低下を如実に示しています。

一方で、円安の恩恵を受けている分野もあります。それが観光業です。

ロジャーズ氏は言います。「ここ数年の訪日観光客の増加は、円安による恩恵だと言えるだろう。いまから20~30年前に、海外の人々が日本へ観光で訪れるのことはできなかった。最大の理由は、円がとても強く日本への渡航費や滞在費が高くついたことだ。よほど、お金に余裕のある人でないと、日本へ観光でやって来て、東京都内のいいレストランで贅沢な食事をし、各地の名所や温泉などを楽しむことはできなかった」

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