世界で最も平均寿命の長い国「日本」。企業が高齢化に対応するとき、「高齢者のニーズを満たすこと」以上に力を入れるべきこととは

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本書を通じて、こうした「シフト」を加速させたい。『ライフ・シフト』よりさらに、政府の政策の方向と、企業が製品やサービスを開発する際の指針、そして個人の思考のあり方に影響を及ぼしたい。

単に長く生きるだけでない社会

本書が日本より一足先に刊行されたイギリスとアメリカでの反響には大いに勇気づけられた。イギリスでは、「フィナンシャル・タイムズ&シュローダーズ年間ビジネス書大賞」の最終候補にも(AI関連の書籍と肩を並べて!)ノミネートされた。

メディアの反響も好意的だ。ポッドキャストなどでも盛んに取り上げられたし、このテーマについてもっと知りたいという企業からの電子メールも続々と届いている。

国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)財務相会合も、意見を聞かせてほしいと言ってきた。長寿国家を実現する方法を知りたい国の政府からの連絡も増えている。変化が近づいていることをひしひしと感じる。その変化は、どんなに早く訪れても早すぎることはない。

私の私生活にも再び変化が訪れた。この文章を書いている時点で、私はロンドン・ビジネススクールから長期休暇を取得し、設立されたばかりのエリソン工科大学オックスフォード・キャンパスに在籍している。この大学は、画期的な科学研究を基に、人類が直面している切実な問題に対して一貫したソリューションを見いだすことを目指している。

私が同大学で取り組んでいるのは、本書の内容を土台にして「長寿研究所」を設立することだ。狙いは、アイデアを実際の行動に転換し、本書で強調する「長寿化の配当」を現実化させることにある。単に長く生きるだけでなく、長く健康であり続け、長く生産性を維持しようというのだ。

それを実現してこそ、私たちは「高齢化社会」の弊害を回避し、医療コストの増大と経済の停滞を防ぎ、高齢になっても健康であり続け、豊富なリソースを確保し、社会と深く関わることが可能になる。

あなたの未来にとって、これほどまでに重要性が明らかな課題は珍しい。日本社会にとって、これほどまでに重要性が明らかな課題も珍しい。その課題の達成に向けて前進し、ひとりひとりがエバーグリーンの人生を生きるために、本書が後押しになることを願ってやまない。

アンドリュー・スコット ロンドン・ビジネススクール経済学教授

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Andrew Scott

ロンドン・ビジネススクール経済学教授。ハーバード大学とオックスフォード大学で教鞭を執った経験もある。ロンジェビティ(長寿)フォーラムの共同創設者であり、スタンフォード大学ロンジェビティ(長寿)センターのコンサルティング・スカラーも務める。共著に、世界的なベストセラーになった『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』などがある。ロンドン在住。

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