マイナンバーカードの認証で転売防止、ハロプロコンサートで実証実験。QRコードチケットと顔認証で入場をスムーズに
「転売の何が悪いの? 買って売るのは一般的な商行為じゃん?」というご意見もあるようだが、大規模、かつ組織的な転売行為は、法律に違反していなくても社会的な悪であるし、多くのチケット販売、物品販売では転売は規約で禁止されている。
転売行為の問題は、我々一般ユーザーの支払った対価が、製品を作ったり、イベントを開催したりしている人に届かず、途中の転売した人に搾取されてしまうということにある。

たとえば、今回のハロプロのライブの場合、実証実験以外の一般販売(4講演で推定約2万1750人)のうち300人が転売されたチケットで入場したという。コンサートチケットの一般販売価格は9600円なのに、中には転売チケットを7万円で購入して入場している人もいたという。たとえば、平均5万円で転売されたとして差額4万円ということは、1200万円が転売ヤーの懐に入ったことになる。
主催者側は、「学生や、若い人に来てほしい」と安めの価格設定にしているのに、結果としてユーザーの中には高いお金を支払わなければならなくなる人が発生するということだ。
オンラインでチケットが発売される時、一般ユーザーはアカウントをひとつ作って申し込みをするのが一般的だが、転売ヤーの中には数百のアカウントを使い、連続してアクセスをするプログラムを組み、チケットや商品購入の権利を買い占めてしまう。そして、独占したチケットや商品を高値で転売するというわけだ。また、転売の組織化が進んでおり、時にその資金は暴力団など反社会的組織や、海外の犯罪者組織の資金源になっていることもある。こうなると「違法ではないから」と放置しておくわけにはいかない。
転売ヤーによる買い占めで、本当に必要な人に届かない
今回取材したのはコンサートチケットだが、転売による問題が発生しているのはそれだけではない。
チケットでいえば、オリンピックやワールドカップなどのスポーツイベントのチケットもそうだし、PS5や、Nintendo Switch、iPhone、グラフィックボード、ガンプラ、ポケモンカード、遊戯王カード、スニーカーやファッションアイテムなどの限定アイテムなど、趣味性と希少性が高く、多くの人が欲しがるありとあらゆるものが対象になっている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら