業績低迷するパナソニックがついに経営陣刷新。大坪社長の“陳謝”、津賀新社長の“信念”

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業績低迷するパナソニックがついに経営陣刷新。大坪社長の“陳謝”、津賀新社長の“信念”

パナソニックは2月28日に開かれた取締役会で、ついに経営トップの一新を決めた。2006年から6年務めてきた大坪文雄・代表取締役社長(66)は代表取締役会長に就任。新社長には、津賀一宏・代表取締役専務(55)が昇任する。
 
 津賀専務は大阪大学基礎工学部卒業後、1979年にパナソニック(当時・松下電器産業)入社。マルチメディア、DVD、地上波デジタルと言ったソフトウェア系の開発畑を30年近く歩んできた。08年にはカーナビ・ETC車載器などを担当する社内分社「オートモーティブシステムズ社」社長に就任。徹底したコストカットと、カーエレクトロニクス分野の新商材開拓で、業績改善を演出。
 
 11年4月からは花形のAV機器事業部門を担う社内分社「AVCネットワークス社」社長となり、テレビ事業リストラに辣腕を振るってきた。決断力と論理的思考力には定評があり、04年に同社最年少の47歳で役員に就任。早くから社内外でパナソニック次世代リーダーの有力候補と目されてきた。

他方、00年代を通じてパナソニックの“ドン”であり続けた中村邦夫・代表取締役会長(72)は代表権のない相談役に退く。それに歩調を合わせて、経営中枢を占めてきた”中村派”の面々も取締役を退任する。90年代から中村氏の知遇を得てきた坂本俊弘・代表取締役副社長(65)、社長秘書出身の官吏タイプで中村氏の片腕だった森考博・代表取締役副社長(64)、中村社長時代からプラズマ拡大路線を引っ張ってきた森田研・代表取締役専務(63)は、それぞれ顧問に就く。

以上の人事は6月開催予定の定時株主総会後の取締役会で正式決定する。来12年度、中村邦夫会長を中心に回ってきた時代が終わりを告げ、まったく新しい時代の幕が開ける。

2月28日、大坪社長、津賀新社長(現専務)の2名が出席し、ホテルニューオータニ大阪で開かれた記者会見の一問一答は以下のとおり。


--このタイミングで社長交代を決断した理由は。

大坪 今日(2月28日)の取締役会において6月27日の株主総会で決議する役員人事を決議した。社長という立場になって以降、自分の後継者については日ごろから最重要課題の1つとして認識してきた。2月3日に12年3月期(11年度)の決算見通し(7800億円の過去最悪の最終赤字)を発表することになり、新たに人心を結束して歩みを進めていく段階になった思い、これを決断した。

--打診のタイミングは。

津賀 2月上旬。社長から聞いたときは青天の霹靂だった。

大坪 2月3日の(11年度第3四半期)決算会見と成長戦略の発表がきちんとできたことで満足感を持った。そのあとで少し頭を冷やし、中村(邦夫)会長に「私の役割は終わりました」と申し上げた。中村会長からは「本当にご苦労さんでした」と言っていただいた。

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