業績低迷するパナソニックがついに経営陣刷新。大坪社長の“陳謝”、津賀新社長の“信念”
--大坪社長は、津賀専務に対しどのような言葉をかけたか。
大坪 「私の大きな役割は終わった。将来の方向も明確である。あとは君にバトンタッチしたい。思う存分、自分の思うとおり、新しい経営を進めてほしい」。こんなふうに声をかけた。
--大坪社長は、津賀専務の、どんな力に期待しているのか。
大坪 今、われわれをとりまく問題は複雑多岐にわたっているが、津賀さんはいつも課題の奥にある(本質的な)課題をつかもうと心がけている。
さらに、目線もつねに外を向いている。社内よりも社外に、国内よりも海外にも目を向けているマインド、姿勢は評価できる。
--津賀専務は、自身のウリをどう認識しているか。
津賀 理科系の技術者出身だが、あまり技術系らしくないところでしょうか。「技術者らしくなく」私は技術を盲信しないが、その一方で「技術者らしく」物事を論理的に考え、仮説・検証するということを肝に銘じてやっている。
--津賀専務が手掛けてきた中で印象に残っている仕事は何か。
津賀 96年に東芝などと一緒にDVDの規格を作り上げた。それまで規格といえば、ソニーさんやフィリップスさんの主導であっただけに、われわれが規格化をリードできたことが記憶に残っている。
また、08年4月にはオートモーティブ社の社長に就任し、カーエレクトロニクス関係の事業を率いた。その年の秋にリーマンショックが発生しきわめて厳しい経営環境に陥った。皆であらゆる節約の努力をし、翌09年の第一四半期には黒字転換できたことが印象深い。
--(津賀専務は)11年4月からテレビ事業に携わってみて、なぜ巨額赤字を計上するような状況に陥ったのか、反省点をどのように分析しているか。
津賀 一言でいえば、「成長性」(を目指しすぎたこと)である。テレビ事業で牽引しようと全社的に注力してきた。しかし、数を多く売ろうとしたことで収益性が落ちた。
昨4月の就任以来、お客様が求めるテレビを本当に作れていたのかという観点に立ち返り、製品ラインナップを見直した。今後も数を追わずに収益優先で考え直し、事業を正常化するにはどうすればいいか1~2年かけて見直していく。